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#12『映画と私』 加藤直輝さん(映画監督)

「中高生のときは映画より音楽の方が好きでした」

いつも何かしら肩書きを書くときに今でもためらいがありますが、映画監督と名乗っています。今は新作『2045 Carnival Folklore』(※1)のポスプロ中です。撮影から1年以上になりますが、ACY (※2)から得た助成金をもとにENBUゼミナールの俳優コースの学生たちの卒業制作作品として好きなように撮った自主映画です。学生たちの他に身体パフォーマー、俳優や(ex)ティーンアイドル、そしてRyo HAMAMOTO、岡本英之、長嶌寛幸、T.MIKAWAなどのミュージシャン、ノイズレジェンドが出演しています。未完成なんですが今度オーディトリウム渋谷でやる「キノトライブ KINO TRIBE 2014」の中で3回上映します。
*1:『Sonic Road Movie YOKOHAMA!』改め『2045 Carnival Folklore』
*2:ACY=アートコミッションヨコハマ
子供の頃、親父がアクションもの好きで、ジャッキー・チェンとかシュワルツネッガーの映画に連れて行ってもらっていました。小学校5、6年で『ターミネーター2』(1991/監督: ジェームズ・キャメロン)に思いっきりはまったんですよ。主人公が男の子だったじゃないですか。かっこいいし、楽しそうだし、いいなーと思って(笑)。そして中学くらいからレンタルビデオ屋に行き始めて、ハリウッドのアクションものとかを借りていました。
高校は部活の空手一色で他のことに余力がまわらなかったですね。なんで空手部に入ったかですか?やっぱりジャッキー・チェンになりたかったからじゃないですかね(笑)。大学の新歓でも空手部の勧誘が来たんですけど、勘弁してくださいと言ってお断りしました。
中高生のときは映画より音楽の方が好きで、CDを聞いていた方が多かったですね。音楽の授業が大嫌いで、全然楽しくなくて未だにドレミもよくわからないんですけど、それとは違った音楽があるっていうのを年齢が上がるにつれて知っていきました。メタルやハードコアを聴いていたんですけど、同じような趣味の友達も特にいなかったので、自分でCD屋に行ったり、雑誌を読んだりして探していました。リビドーに突き動かされて激しい音を求めていたわけです(笑)。特に高校では空手部という縦割り閉鎖社会にどっぷりだったので、音楽の世界って自由だなって。当時はそんなこと意識してなかっただろうけど、感覚的にひかれてたんじゃないですかね。
自分で音を出すようになったのは30になってからですね。今一緒にSierror!〽というバンドをやっている増田くんと『Echo Never Goes Out』(現在LOAD SHOW で無料配信中)を作ったときに初めてスタジオに入って自分で音を出したらすごく楽しくて。これが音楽だとも思っていないんですけど単純に音を出していて楽しいという意味では音楽をやっているのかもしれないです。

「映画を見はじめて、監督が固有名として記憶される感じは新鮮でした」

たくさん映画を見るようになったのは立教の映研に入ってからです。その頃から日本映画を見るようになりましたね。立教の先輩である諸監督方の存在も知らなかったんですけど、そういう人たちがオンタイムで撮っているものを見たり、それにプラスして文芸座とかでやっている名画と呼ばれる映画も見るようになりました。日本映画だと監督ごとに1作品みたいな感じで見始めて、黒沢清さんだったら『CURE』(1997)、北野武さんだったら『ソナチネ』(1993)、青山真治さん『ユリイカ』(2000)、諏訪敦彦さん『2/デュオ』(1997)とか、映画ファンからすれば当たり前なんでしょうけど、監督が固有名として記憶される感じは新鮮でした。そこから数珠つなぎみたいな感じでいろんな映画を見ていきました。
それに大学時代は自分で映画の情報を求めればいくらでも手に入るような環境でした。映研で話題になった作品とか、仏文の先生がフランス映画を教えてくれたり、授業では篠崎誠さんが教えていたので、全部映画につながっている感覚でした。篠崎さんの授業はたしか2コマあって、最初のコマで何か作品を上映して、その後にその作品について話すっていうのがオーソドックスなスタイルでした。出欠はそのとき劇場でやっている映画を見て来て、その半券が出欠票になるんです。で、「何が映ってましたか?」と聞かれる(笑)。いわゆる蓮實スタイルというものらしいですね。あと、篠崎さんはよく公開中の作品に絡めて監督や俳優、現場のスタッフをゲストに呼んでくれました。あるとき万田邦敏さんと高橋洋さんと青山真治さんがいらっしゃったんです。見るからに風体が怪しいおっさんたちが壇上に並んで、それはカルチャーショックでしたね。こんな人たちが映画の業界にはいるんだと思って(笑)。実は松田広子さんともそんな授業で初めてお会いしました。
僕は仏文科でした。別にフランスに興味があったわけではなかったんですけど、間口が広いかなと思って、そしたら案の定その通りで(笑)。卒論はブレッソンについて書いたんです。仏文の知り合いに『ラルジャン』(1983/監督:ロベール・ブレッソン)を見せてもらったんですけど最初はクエスチョンマークが直撃しまして、ずっとそれが消えないので何回も繰り返し見たんです。なんでこの人こんなものを撮っているんだろうってことを自分なりに考えて、それを卒論にしました。

「見えないけど在るっていうのを形にしたいんですけどね」

作品を作るたびに音への興味が大きくなります。「爆音上映」ってあるじゃないですか。以前、『アブラクサスの祭』(2010/監督:加藤直輝)を上映していただいたことがあるんです。作品によりけりだと思いますけど、「爆音上映」って色んな作品をあえてやってみて何か想像もしなかった音が予想もしない形で聴こえてくるんじゃないかっていう考えが根底にあると思うんです。でもほとんどの映画はそれを前提に作られていないので、むしろそんなでかい音で再生するのは作品にとってマイナスだっていう人もいると思います。ただ『アブラクサスの祭』は通常上映よりもしっくりときました。あの増田くんが泣きそうになったと言っていましたから(笑)。あのときアブラクサスバンドのメンバーが全員見に来てくれたんですけど、彼らもみんな良かったと言っていました。そういう意味ではボリュームがそのまま作品自体のパワーに直結している感じがします。少なからずでかい音が必要な人種がいると思うんですよ。僕もその一人だとは思います。
『Echo Never Goes Out』をやってから映画の音っていうよりはひとつのサウンドトラックとして捉える感覚が強くなってきています。パーツじゃない感じというか。『ENGO』の音はミックスは増田くんがやっているんですけど、自分の中でしっくりきたところがあって、あれが映画だとしたらああいう映画を作りたいなと。逆にそれしかやりたくないなというのはあります。自分が作りたいものが変わっていっているのか、狭まっているのかわからないですけど、今はそういうものにしか興味が向かなくなってきちゃっています。見えないけど在るっていうのを形にしたいんですけどね。これまで自分で音を扱って何かをしてこなかったので、テクニックや知識をこれから勉強しようかななんて思っています(笑)。結局映画との関わりは作っていくっていうのと、見るっていうことでしかないと思っているのでそれを続けていくつもりです。
■キノトライブ KINO TRIBE 2014
http://a-shibuya.jp/archives/8783
■『2045 carnival Folklore』上映・イベントスケジュール
◆2014年1月25日(土)14:00
◆2014年1月25日(土)24:00
[kino (to) LIVE ALLNIGHT!] 柴田剛VS加藤直輝 & カメラを持った男 with Chihei Hatakeyama
『ギ・あいうえおス』+『2045 carnival Folklore』+『カメラを持った男』
◆2014年1月31日 (金)19:10
聞き手・構成・写真: 石川ひろみ
『2045 Carnival Folklore』
『Sonic Road Movie YOKOHAMA!』としていくつものVer.を生みながら未だ完成してないあの映画が再編集を経てまたまた今回限りの特別上映。2045年のファーイースト。かつて日本と呼ばれた国は天災によってすべての原発がメルトダウンし、崩壊した。数年後、とあるシティが奇跡的な復興を遂げる。絶望した人々の集合的無意識が理想郷を実現したのだ。完璧に調和された社会。そこに外から密命を帯びた異邦人がやってくる。この映画は彼が提出した報告書である。リストには人工麻薬、ミュータント、スカムパンクス、ノイズアニミスム、ソイレントフード、そしてマンドラゴラなどの項目がある。
監督・脚本:加藤直輝/原作・脚本・音楽:増田圭祐/撮影:定者如文/録音:黄永昌/編集:鈴木宏/制作:原尚子/製作:ENBUゼミナール、はらほろ/助成:ACY先駆的芸術活動支援事業/出演:石井順也、岡美咲、奥瀬繁、林亮佑、海老原恒和、大西冬馬、大村昌也、岡奈穂子、河添由夏子、小崎愛美理、土屋陽平、成瀬大樹、濱仲太、平岡祐介、矢野杏子、岡本英之、増田圭祐、Ryo HAMAMOTO、長嶌寛幸、T.MIKAWA/2013-14年/HD/パートカラー/ステレオ/16:9/93分
  • 『加藤直輝』
    1980 年東京生。立教大学フランス文学科卒業。在学時は映画研究会に所属。2007年、東京藝術大学大学院映像研究科(映画専攻・監督領域1期生)を修了。修了制作作品『A Bao A Qu』が第12回釜山国際映画祭コンペ部門にノミネートされるほか、ドイツやオーストラリアなど各国の映画祭で上映。10年『アブラクサスの祭』(原作:玄侑宗久 出演:スネオヘアー、ともさかりえ 音楽:大友良英)で監督・共同脚本として商業作品デビュー。サンダンス映画祭2011、釜山国際映画祭2010など各国の映画祭で上映された。最新作は『2045 Carnival Folklore』(2013-2014)。
  • 『Sierror!〽(シエラ!)』
    加藤(Feedback, Electronics)と増田(Gt.)で結成。

    ネオブクロのはずれにヒソリと佇むハモン・ドージョーの一室。そこからジゴクめいた音が漏れ聴こえてくる。発生源はスタジオ壱か。中ではスゴイデカイアンプウォールに挟まれたパチンコウェステッドとEYEヘイトファーマーがゴウオンの中で白目を剥いていた。アンプ百台組手の最中である!

    ズガギャギャギャギャ!ズドォン!ズドォン!ズドォン!キィーーーーッ!
    KAMOOOOOOOOOOM!!!!!

    なんと禍々しいアトモスフィアか!これは古代ドゥームブードゥーのモージョー行為か?実際音圧のせいで空間がスペクトルディストーション!

    夥しいペダルエフェクトをタタラ踏んでいた二人は遂に未体験ゾーンに突入した。「困ったときのファズ頼み!」「焼け石にワウ!」あまりの振動でアンプがミガッテスライドする。セツナ!
    「グ、グワーッ!」
    「ア、アイエエエエ!」
    ナント両耳から血を噴きした!コワイ!

    最早コレマデか?秘技「呑何処」はマボロシだったのか?二人は薄れゆく意識の中でハウリングフートンに身を任せた。不意に静寂が訪れ頭上になにかもやもやした光るものがやってきて見下ろす。

    (((フィードバックは一にして全、全にして一である)))

    揺れるドクロの中にカンノンボイスが響く。おおナント、それはサンズリバーのカナタからヤマビコエコーしてきたオツゲだった。「呑何処イズコ!」二人はフリークトーンの中からソセイした。ノイズシュゲンジャーの誕生である。

    以降ワビサビハーシュとショッギョムッジョドローンを駆使してフィードバック・アニミスムの教えを実践する。

    ウルサイ!