LOAD SHOW

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#16『映画と私』 佐々木瑠郁さん(映画宣伝)

「今まで宣伝してきた作品は、主にドキュメンタリー映画が中心です」

フリーランスで映画の宣伝をやっています。今は、2014年3月1日(土)からオーディトリウム渋谷で開催される、濱口竜介監督作品『不気味なものの肌に触れる』と、同時に開催される「濱口竜介プロスペクティヴ in Tokyo」の宣伝を担当しています。今まで扱ってきた作品は主にドキュメンタリーが中心でしたが、別にドキュメンタリーにこだわっているわけではなく、頂いたお話の中から自分だったらこれはできるんじゃないかという作品をお受けしています。
最近だと、酒井耕・濱口竜介監督による「東北記録映画三部作」、『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』の宣伝をやっていました。わりと震災映画と言われるくくりの作品と縁があって、何本か携わってきました。今後も被災地を追いかけている作品は積極的にやっていきたいと思っています。というのも、東日本大震災当時、食品会社などはすぐに被災地支援で動いていたじゃないですか。当時、私は映画宣伝の会社にいたんですけど、震災直後エンターテインメントは不謹慎と言われて、社会的立場として何もできないということを痛いほど感じました。私の親戚が秋田にいるのですが、その親戚に、「東北に関わりのある者として何かしたいのに私の立場だと募金くらいしかできない」と言ったときに、「今すぐできる支援と時間がたってからできる支援があって、映画は人の心を救う力があるからみんなの生活が少し落ち着いてきたときに支援すればいいんじゃない?」と言ってもらったんですね。震災から2、3年越しで震災映画が公開されるようになってきたので、今が私の支援のときかなと思ってやっています。

「土着的な文化に興味があって、大学では地理学を専攻していました」

印象に残っている映画の最初の記憶は小学生のときです。テレビドラマでしたが、倉本聰さんがすごく好きで「北の国から」シリーズを録画したものを毎日のように繰り返し見て子供ながらに感動していましたね。だからといって大学院に行く直前までは映画の仕事に就くなんて思ってもいませんでした。私は高校大学一貫校だったんですけど、高校の地理の先生が付属の大学の大学院に通っている講師の若い女の先生で、その先生の授業がすごく面白くて地理が大好きでした。夏休みに出した課題を見て「地理学科に行ってみたら?」と勧められて、もともと「北の国から」が好きだったりと、土着的な文化に興味があったので大学では地理学を専攻していました。その延長で映像民俗学とか映像人類学という分野に進みたいと思っていたんですけど、仕事にするにはとても難しい分野です。どうしようかと考えていたときに、学術系にこだわらなくても、映画には土地を題材としたドキュメンタリー映画があると知り、大学の先生の後押しもあり、映画に進みました。
大学院に入ってみると、まわりの子たちは以前から映画業界を目指してきている子たちだったので、見ている量も知識もまったく違いました。友達に教えてもらったり、授業に出てくる監督の作品から派生して、とにかく浴びるように見ていきました。中でも興味を持ったのは日本の古い映画です。もともと街や土地に興味があったので、古い町並みとか、今はなくなった川とか、時代ごとに変わりゆく銀座の風景とか見ているだけで面白かったですね。私は実際その時代には生きていないのに懐かしさがあって、その中で揺れ動く女の人の感情が今も昔も変わっていない不思議さにとても惹かれました。

「人との繋がりで仕事をしているということに喜びを感じます」

大学院を卒業するときに、ドキュメンタリーを扱っている配給宣伝会社があるということを知って、インターンに行きました。そこで初めて宣伝配給がどういう仕事なのかということに触れて、作品をお客さんに届ける仕事ってすごく大事だなと感じて、そのままその会社に就職したんです。
会社にいたときは初日だったり一般試写会だったり、自分のやってきた宣伝がちゃんと観客まで届いて劇場まで来てくれた、ということに喜びを感じていました。当時は“観客に映画を届けてあげる”仕事という感覚でいたんですけど、フリーになってみて、人との繋がりで仕事をしているということに喜びを感じます。例えば、自分が映画とお客さんを繋げてあげるのではなくて、その作品に自分が出逢えたから、このお客さんたちに会えたとか、作品に出逢えたからこの人たちと一緒に仕事ができたんだと考えるようになりました。フリーになると人から作品を紹介してもらったり、その作品を持ったことでまた次の作品に繋がることがあるので、上映を終えて、関わった人たちとまた次の何かに繋がったときはやりがいを感じます。
酒井耕・濱口竜介監督作品「東北記録映画三部作」を宣伝するきっかけはまさにそれで、最初にオーディトリウムの杉原さんから製作配給のサイレントヴォイスを紹介していただき、酒井監督と濱口監督に出会って宣伝をやらせてもらうことになりました。その後も監督たちにくっついてご飯を食べに行ったりしているうちに濱口組のスタッフと知り合う機会があり、3月1日(土)からオーディトリウム渋谷で公開される、濱口竜介監督作品『不気味なものの肌に触れる』と、同時に開催される「濱口竜介プロスペクティヴ in Tokyo」の宣伝もやらせてもらうことになりました。

「今の20〜30代を一世代と考えて、皆で基盤を作っていかなきゃならないと感じます」

私はあまり経験もないままフリーになってしまったのでもちろん不安はありますけど、学生時代から今まで、自分で何かをしてきているというより、何かに導かれて今に至るという感じがします。でもまわりの人たちが本当にいい方ばかりで、ちゃんと次の仕事につながっているので間違った方向に引っ張られているわけではないのだと思って安心して流れに身を任せています。
今年の目標は去年いただいたご縁をもっと膨らませてもっと大きくしていくことです。今年すでにお声掛けいただいている作品は全て去年の縁から繋がっているものなので、それを今年で終わらせるのではなくて来年、再来年に繋げて広げていきたいなとは思います。また、今の20代、30代を一世代と考えたときにしっかりその基盤を作っていかなきゃならないのかなと感じます。映画の本数は増えているけど劇場公開に至らない作品も多かったり、宣伝費が足りなくて公開できないということをよく耳にします。でも才能のある若い監督はたくさんいるので、宣伝費が少なくてもどうにかその映画を届けられるように、宣伝だけでなく、劇場や配給や媒体も全部ひっくるめて一世代で映画を盛り上げていきたいですね。

あのときの1本

『大丈夫であるように—Cocco 終らない旅—』(2008 /監督:是枝裕和)
ドキュメンタリー映画に興味を持ち始めて、土地を映している映画をいろいろ見ていた中で出会った1本です。歌手のCoccoのライブを追いかけたドキュメンタリーだったんですけど、テーマは沖縄の基地問題だったので興味を持ちました。それを見たときにすごく泣いて、友達と一緒だったんですけど自分がその後友達とどこに行ってどういうふうに遊んだのかなどまったく覚えていないくらい衝撃を受けました。
聞き手・構成・写真:石川ひろみ
1, 濱口竜介監督作品『不気味なものの肌に触れる』
■上映スケジュール
2014年3月1日(土)~14日(金)2週間限定ロードショー
12:45 | 19:20
※3月1日(土)19:20の回上映終了後、キャストによる舞台挨拶が決定!
 登壇キャスト:染谷将太さん、石田法嗣さん、瀬戸夏実さん、河井青葉さん、水越朝弓さん
■料金
オーディトリウム劇場窓口にて発売中
・特別鑑賞券=1000円(2/28まで劇場窓口にて販売)
・一般=1300円/学生・シニア=1200円/サービスデー(3/1)=1000円
■『不気味なものの肌に触れる』公式Facebook
https://www.facebook.com/BukimiFilm
■『不気味なものの肌に触れる』LOAD SHOWにてダウンロード販売中!
https://http://loadshow.jp/film/touching-the-skin-of-eeriness

2, 濱口竜介プロスペクティヴ in Tokyo
■上映スケジュール
2014年3月1日(土)~14日(金)
21:00| 7日(金)、14日(金)のみオールナイト上映により24:00から
詳細はこちら→http://a-shibuya.jp/archives/9210
■料金
オーディトリウム渋谷劇場窓口にて発売中
・一般=1,400円/学生・シニア=1,200円/特集三回券=3,000円(会期中も販売、シェアしてのご利用も可)/サービスデー(3/1)=1000円
・半券割引 『不気味なものの肌に触れる』半券ご提示で1,100円
◎『親密さ』+αオールナイト上映について
・一般=2,000円/学生・シニア=1,800円
・『不気味なものの肌に触れる』半券ご提示で一般=1,800円/学生・シニア=1,500円
※特集三回券は『親密さ』オールナイト上映以外のレイトショーのみご利用可能
■SPECIAL
劇場にて3回券をご購入いただくと...
購入特典として、映画配信サイト「 LOAD SHOW 」より、『濱口竜介短編集』をダウンロードできる秘密のアドレスを配布!
※全て未ソフト化作品です
■「濱口竜介プロスペクティヴ in Tokyo」公式HP
www.prospective.fictive.jp
■「濱口竜介プロスペクティヴ in Tokyo」公式Facebook
https://www.facebook.com/HamaguchiProspective
■「濱口竜介プロスペクティヴ in Tokyo」公式Twitter
@Hamaryu_PS
■会場
オーディトリウム渋谷
『不気味なものの肌に触れる』

©LOAD SHOW, fictive

2013年/HD/カラー/54分/日本

監督:濱口竜介/プロデューサー:北原豪、岡本英之、濱口竜介/脚本:高橋知由/撮影:佐々木靖之/音響:黄永昌/音楽:長嶌寛幸/助監督:野原位/制作:城内政芳/ヘアメイク:橋本申二/楽曲演奏:和田春/振付:砂連尾理/製作:LOAD SHOW, fictive
出演:染谷将太、渋川清彦、石田法嗣、瀬戸夏実、河井青葉、水越朝弓、村上淳
構想段階にある長編『FLOODS』に向けての壮大なる予告編—というにはあまりにも才気と魅力に満ちた中編。主演は監督の濱口竜介とは初タッグとなる染谷将太、『PASSION』以来5年振りの渋川清彦、『THE DEPTHS』以来3年振りの石田法嗣。また、河井青葉、瀬戸夏実、水越朝弓、更には村上淳が出演するなど、豪華俳優陣が脇を固めている。
千尋(染谷将太)は父を亡くして、腹違いの兄・斗吾(渋川清彦)が彼を引き取る。斗吾と彼の恋人・里美(瀬戸夏実)は千尋を暖かく迎えるが、千尋の孤独は消せない。千尋が夢中になるのは、同い年の直也(石田法嗣)とのダンスだ。しかし、無心に踊る彼らの街ではやがて不穏なできごとが起こり始める…。
  • 『佐々木瑠郁(ささき・るい)』
    1985年東京都出身。大学院卒業後、インターン・アルバイトとして働いていた配給・宣伝会社に勤務。2012年フリーランスとして、ドキュメンタリー映画やミニシアター系の映画宣伝を始める。