LOAD SHOW

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♯33「映画と私」石崎チャベ太郎(俳優)

「世界と繋がる人間でいたい」

俳優です。活動としては日本国内や海外の小規模な映画にも積極的に関わっています。来年では海外作品は南米チリや韓国の作品参加を予定しています。南米チリで参加する予定の作品は、国際映画祭に行った時に出会ったイグナシオ・ルイス・アルバレスが監督をします。監督から一緒に映画をやろう!と言ってもらい、僕はとても嬉しくなり、話がまだ決まってなかったので日本の事を知ってもらおうと書いたこともない脚本を初めて書いて彼に読んでもらったのを覚えています。現段階の脚本には微塵も入っていませんが…。ですが、色々お互いの国や文化について語り合った結果が今の脚本にはあると思っています。昨年は、映画企画支援としてチリのファンドから予算がおりてチリに行き、ティーザー撮影にいきました。本編撮影は日本とチリでの撮影になります。向こうの撮影現場ではすべてチリのスペイン語なので、必死に撮影の流れを読んでいました。違いはあれど、人間的な部分では何も変わりません。彼らは酒を愛し、何よりも人を愛する事を一番大事にしている人たちです。なので現地での撮影は、現場だけでなく、人間的な成長にもなりました。韓国映画は情報解禁されたらまたどこかで報告できたらいいなと思っています。
最近では「Android Project」という、青年団のブライアリー・ロングさん、小仲秀治さん、ARTSTAの小野川浩幸さんたちと一緒に新しい表現に挑戦しました。最初は小野川さんに「ライブやるんだけど一緒に面白い事しようよ!」って声をかけてもらい、小野川さんと何か面白い事をしたいとずっと思っていたので二つ返事で「あ、いいっすよ」ってな感じで受けたんです(笑)。で、「Android Project」の稽古では、ずっと「何がAndroidなんだろう?」と思っていたんですが、そのときに、ブライアリーさんが「人間なんだけど、人間ではなくなっていく」そんな話として「異邦人」や「変身」の内容を入れていると聞いてなるほど、面白い!と。アンドロイドが何かっていう事もこれからは普遍的なテーマを描く上で重要な表現対象になっていくと思うので、稽古中、ずっとそういう事を考えていました。次は、短編映画とかでそういった表現を試みるのも面白いし、参加したいなと思っています。
俳優業以外の時は、僕はデザインが好きなので、趣味程度ですが、その時の自分の感情や感覚をパソコンでデザインしたりして自己満足で作品を作ったりしています。いつか誰かに披露する時があってもいいですね(笑)

「『ほんまもん』っていう NHKの朝ドラをよく観ていたんです」

初めて観た映画は、これっていうのは覚えていないんですが、アメリカのホラー映画が印象に残っていて、『フューリー』(1978 年/監督:ブライアン・デ・パルマ)、『死霊のはらわた』(1981 年/監督:サム・ライミ)、『13 日の金曜日』シリーズとかですね。って全部ホラーですね。(笑)すべて家のテレビで観た作品で、劇場に行った記憶っていうのはほとんど無いですね。小学校、中学校っていうのはバスケットに夢中だったんですね。特に中学校の頃はほんとにバスケット一筋でやっていたので、女の子と付き合う事は諦めていました(笑)。
中学生の頃の印象深い出来事で、文化祭で劇をやったんですよ。その時、刑事の役だったんです。それで、もらった台詞が「お前を逮捕する」だけなんですけど、僕学校であまり喋らない人だったので、大きな声で言ったら体育館中みんな爆笑だったんです。僕がそんな事を言うっていうギャップもあったんでしょうね。それを経てから、すごい芝居をする事に惹かれていったんです。でも、役者になんてなれないよなって思いながら、受験勉強は本当に一生懸命していました。で、高校3年生の時に受験勉強をしながら『ほんまもん』っていうNHKの朝ドラをよく観ていたんです。それが本当に面白くて、夢中になって、気付いたら役者になろうってなってました(笑)。

「女優紅萬子さんとの出会い」

実際に芝居を始めたのは、大学に入学して演劇サークルに入ってからです。その時は、映画というよりかは芝居をやりたかったですね。それでずっと舞台をやっていました。その後、プロダクションに応募して松竹芸能俳優養成所に入りました。
当時、山田洋次監督の『学校』シリーズがすごい好きで、そういうちゃんとした映画をやってそうな撮影所系列の事務所に入ろうと思ったんですよ。僕はその時、東宝と東映と松竹しか知らなくて、それでどうしようかなと思っていたら、京都の撮影所の中にプロダクションがあるのを知って松竹を選んだんです。最初は松竹撮影所内で撮られるドラマとか映画のエキストラをずっとやっていました。そこではエキストラのプロの方がいるんですよね。時代劇だったらこの時はこうするとか、すごい知ってたんです。この人達すごいな、こんなに知識もあって、自由でいいなと思っている時に、ある時、京都校が潰れ、大阪校に移籍したんです。そこで演技講師をしていたのが、紅萬子さんという朝ドラやたくさん作品に出て活躍している女優さんでした。とにかく一人芝居のレッスンを通じて、芝居の背景にある人間についての考えや遊びについての考えを学んだのはかなり大きかったですし今でも僕の中で活きています。その時あたりから少しずつ深夜ドラマやCMとかに出させて頂くようになりました。

「上京しないといけない」

そんな中、『男たちの大和/YAMATO』(2005 年/監督:佐藤純彌)に出られる機会がありまして、東京のキャストとも一緒に練習するんですね。軍事教練っていって、半年間やっていたんです。その時に感じたのが、東京の人達のスタンスが全然違ったんです。どこか自信がみなぎっていて、周りを全然気にせずまっすぐ芝居をしていた印象が強かったんです。それにいろんな方向性で活動をしている人がいて、それが個性になっていました。それがきっかけで東京に興味をもちはじめ、東京を拠点にしました。

「実際にカンヌに行ってみたら衝撃の連続でしたね」

上京した後、自分が出演した映画がゆうばり国際ファンタスティック映画祭に入選して、夕張まで行く機会があったんです。そこで緒方貴臣監督と初めて出会い、2012年に劇場で公開された僕が主演した『体温』(2012年/監督:緒方貴臣)という作品に参加しました。『ある子供』(2005 年/監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ)などを緒方監督から薦められて観たんですが、ほんとに面白くて、台詞も少ないし、もともとちゃんと画で観せる映画っていうのが僕の好みだったんですね。緒方監督が薦める映画はとにかく全部面白かったんです。そこから映画に対する集中力が高まっていきました。
そうなると、世界で一番と言われてるカンヌ映画祭ってどんなとこだろう。知っておかないと駄目だろうと思い、カンヌ映画祭行くために短編映画を企画して友人監督の宇賀那健一くんに監督してもらい、短編のマーケットの部門に通って第63回カンヌ国際映画祭に1人で行きました。実際にカンヌに行ってみたら衝撃の連続でしたね。カンヌで短編含めて100作品くらい観たんですが、やっぱり僕はこういう系の映画が好きなんだと思いました。短編マーケットってバイヤー達とつながって、ご飯食べたりして時間かけて作品を売るっていう商売の場所なんですね。みんな売るために来ていたので、チラシとかのハイクオリティの高さに圧倒されましたね。短編にこんなすごいチラシのデザインをしているんだと思いました。そのマーケットで色んな国のフィルムメーカー達と知り合って、一緒に食事したりして仲良くなりました。気づけば10人くらいの一つのグループになってワイン飲みまくり、叫びまくりで、しかも映画祭の中で映画を撮ったりと、ルール無用のそういった出会いがきっかけで、チリのフィルムメーカーの人達と映画を作れる事にも繋がったんです。

「いい脚本に出会いたい」

カンヌ映画祭に行って思ったのが企画や発想、脚本のレベルの高さをすごく感じました。そういった刺激もあって自分で作品を一度だけ監督した事があります。『boy』っていう短編作品を作りました。イタリアとチリで上映もされました。嬉しかったです。自分で撮ってみて気付く事もたくさんあるんですよね。ずっと芝居ばかりやっていて、一回監督やってみようと思ってやりましたが、やっぱり監督経験は俳優にとって一度は必要だなと思いました。
今後は、やっぱりいい脚本に出会いたいですね。脚本を読むのが本当に好きなんです。ドラマでも、たとえ一言の台詞でも何回も公園とかで地味な練習してしまいます(笑)。商業作品、インディペンデント作品問わず、とにかく自分が面白いと思える映画に出続ける事と、人間をしっかり表現しようとする国内・国外のフィルムメーカーたちとどんどん繋がって良い作品と出合っていきたいですね。

あのときの一本

『至福のとき』(2000 年/監督:チャン・イーモウ)
この作品を観て号泣しました。人間味がつまっていて、「他人である」という事と「優しい」っていう事の二つを描いているんですね。だからこそ「人間」を感じるんです。カメラもシンプルなフレームワークなんですけど、良いんですよね。この作品は僕にとって衝撃的でした。
イグナシオ・ルイス・アルバレス監督作品『Green Grass』
■プロモーション映像
https://vimeo.com/78345690
■プロジェクトサイト
http://greengrass-movie.com/
石崎チャベ太郎出演作品『HARAJUKU CINEMA』
10月14(火)・15日(水) 大阪シアターセブンにて2日間限定劇場公開
■公式サイト
http://harajuku-cinema.jp/
■DVD 10月22日(水)発売
http://www.vap.co.jp/harajuku-cinema/
映画音楽家×映画・舞台俳優により新たに始動した「Android Project(アンドロイド プロジェクト)」のライブ映像
http://culture.loadshow.jp/special/android-project/
聞き手、構成、写真: 川邊崇広
『Green Grass』
監督:イグナシオ・ルイス・アルバレス

出演:石崎チャベ太郎 ほか

脚本:マイケル・トリード、イグナシオ・ルイス・アルバレス

プロデューサー:ジェニファー・ファッシアーニ、曽我満寿美

  • 『石崎チャベ太郎(いしざき・ちゃべたろう)』
    1982年生まれ、ボストン出身、大阪府高槻市育ち。関西大学総合情報学部卒業。オフィスMORIMOTO所属。
    主な出演作として、ドラマではNHKBSプレミアム『撃墜 3人のパイロット』、NHK朝の連続テレビ小説『芋たこなんきん』、テレビ東京『殺しの女王蜂』、映画では緒方貴臣監督作品『体温』(主演)、柴田剛監督作品『堀川中立売』、高畑鍬名•滝野弘仁監督作品『もしかしたらバイバイ!』、岡田まり監督作品『東京ハロウィンナイト』、Short Shorts Film Festival & Asia 2014で上映された宮崎光代監督作品『キャンとスロチャン』、また今夏公開された小美野昌史監督作品『HARAJUKU CINEMA』など、他多くの映画に出演している。

    《公式サイト》 http://www.chavetaro.com