LOAD SHOW

A Rooted Soul. Vagabond Eyes.

映画の未来をいち早く
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#03『映画と私』 浜本亮さん(ミュージシャン)

「映画への関心というのはやっぱりありますよ」

普段はミュージシャンとして演奏をしています。自分のことだけでなく、主に英詞ですが、歌詞の提供なんかも。翻訳の仕事もしていますから、最近では訳詞もやりますし、遠いとこだと医療系の翻訳も。映画関係だと、それこそLOAD SHOWのサイト翻訳をやらせて貰っている程度で、他には特にないですね。
映画への関心というのはやっぱりありますよ。映画を最初に認識したのは、それこそ6歳くらいに見た『Back to the Future』だったり、インディー・ジョーンズなんかの、いわゆるハリウッド映画。父親の仕事でアメリカに住んでいたので、字幕も付いてなくて、わけが分からなかったですけど、映画と言えばこういうものだという認識にはなりましたよね。音楽に関しては、僕は7歳でピアノをはじめて、14歳でギターを持ったんですが、弾いてて当たり前な状態で、なんにも意識をしていなかったんです。母親がクラシック至上主義的なところがあって(笑)、バイオリンをやってたみたいなんだけど、まあ思春期に特有な理由なのかどうなのか、些細とも言える理由でやめてしまったことを後悔していたんだと思うんですね。それで僕にクラシック音楽をやらせたかったみたい。僕はロックンロールの衝撃って受けていなくて、自分はロックミュージシャンだと意識したこともない。憧れも抱いていなかったし、単純に当たり前のようにそこにあるギターをちゃんと弾けるようになりたかった。思想やムーブメントに触発されてバンドをやりたいなんてのも全くなくて、自分にできる音楽ってどんなだろうとか、音楽ってそもそもなに?って考えたり、あとは単純にメロディーやハーモニーを意識してた。だからロックとクラシックに隔たりを感じていないんです。結果的に自分はロックンロールに向いていたというだけで。

「映画の楽しみ方がグラっと変わった時期に黒沢清監督の作品に出会いました」

映画は18歳くらいまでそんなに意識的に見ようとはしていなかったです。幼いころに小説をよく読んでいたんですが、ある時期から物語を追うことが得意じゃなくなったことも影響しているかも知れません。覚えているのは、たまたまTVで『ニキータ』を放映していて、弟と一緒に見たんです。あの映画の宙ぶらりんな終わり方には、惹かれるものがありましたね。その頃って、物事の答えの出し方というか、言葉レベルで簡単に結論付けてしまうことに対する疑問というか、そんなことを考える時期だったと思うんです。ですから触れるものがあったんでしょうね。そこではじめて監督という存在を意識したんじゃないかと思います。リュック・ベッソンっていうのかって。その後TVで『アトランティス』を見て、『レオン』も見てね。エンディングでStingが流れたときはずっこけたけど(笑)、まあそれからも色々見て、結果的にこの監督あんまり好きじゃないなと。それで他の監督はどうなんだろうって思ったんです。
大学に入ってからは時間もありますしね、いわゆるアートな作品に手を出したくなったり、自分の指針となってくれるような「何か」を求めてしまうというか。そんな時期に、ジム・ジャームッシュに衝撃を受けたということはありました。大学では演劇評論家の長谷部浩さんの授業を受けていたんですが、そこで作品の見方、作品のコンセプトの立て方、そのコンセプトをどのようにしてひとつの作品の中で全うするか、あるいはどういうことをしてしまうと、そのコンセプトに綻びが生じ、矛盾が生まれて、物語が貧弱になってしまうのか、そんなことを演劇を見て考える授業だったんですが、映画に対してもそういう見方が出来るようになったんです。それ以降、ありとあらゆる映画の楽しみ方がグラっと変わりました。変わったというか明確になったというか。ちょうどその時期ですかね、黒沢清監督の作品に出会ったのは。最初は友達が『CURE』のビデオを貸してくれたんだと記憶してますが、そうしたプロセスを経た後ですから、作品を3回見ても4回見ても面白いわけです。あれはなにを象徴しているのだろうとか、そんなことも考えていると尚更。受け手って作品とその時々の状況みたいなものを、勝手に関係付けて考えてしまうところがありますよね。音楽で言うとランダムに並べた音から勝手にあるメロディーを聞き取ってしまうような。映画でいいなって思うのは、喋らせることができることかな。自分の主義主張とは真逆の台詞を、あるキャラクターに言わせてみたりね。他にも映画にしか出来ないことが沢山あるわけで、そこに対する憧れはありますよね。自分で作りたいとは思わないですが。

「演技をすることで自分に起こる反応ってなんなんでしょうね」

出演についてはね(笑)、濱口竜介監督の『親密さ』に関しては、役回りとしてもギター弾きの男ですし、舞台上のシーンに関して置物みたいにしてないといけないなって意識をした程度で、特に出演に対する強い意識はなかったですね。加藤直輝監督の『2045 Carnival Folklore』(※旧題『Sonic Road Movie YOKOHAMA!』)に関しては、同じミュージシャンというキャラクター設定ではあったけど、キチンと演じる必要がありました。加藤監督にはじめてお話を聞いたときは、構想中の映画に「ギター乞食」という役があるんですが、どうでしょうか?ということだけでしたが(笑)。加藤監督は僕がギターを弾いているmooolsというバンドも見てくれていて、それもあって声をかけてくれたんだと思いますね。ところがいざ引き受けてみると台詞もあるし、これは無理だなとも思いましたが、そこはやっぱり興味が勝っちゃいますよね。映画は好きだし、台詞を言うってどんな感じなんだろうって。だから、無責任とまでは言わないですけど、楽しんじゃえ!って。音楽ではなかなかそんな風に言えないですけど、ここは門外漢だし、甘えさせて貰おうかなと。公開はまだみたいですけど、面白い映画ですから楽しみですね。まあこんな機会が自分に訪れるとは思っていなかったわけですが、演技をすることで自分に起こる反応ってなんなんでしょうね。音楽でいうところのカバーとは違うしね。仙台で濱口監督と一緒になったとき、帰りの新幹線で「聞くこと」についての話をしたんだけど、そういうことも含めて今気になってますね。次ですか?面白いお話をいただけたら、きっとまた興味が勝ってしまうでしょうね(笑)。

あのときの一本

『エイリアン』(1979/監督:リドリー・スコット)
空間が狭くてコンセプチュアル。哲学的な恐怖をはらんでいて、映画ってそういうこともできるんだなと。
Ryo Hamamoto Live
■会場
渋谷LUSH
■スケジュール
2013年12月16日(月)
■出演
Ryo Hamamoto
w / 沢田ナオヤ / 中野斗愛 / わっこ
■料金
Advance 2000 / Door 2500 (+1D)
http://www.toos.co.jp/lush/
Ryo Hamamoto & The Wetland - Sally Lee
聞き手・構成・写真: 岡本英之
  • 『Ryo Hamamoto & The Wetland』
    シンガー・ソングライター浜本亮率いるトリオ。プログレ・インスト・バンドをやっていた浜本がバンド空中分解後、2004年頃ギターで歌い始める。同年、渡部牧人(Padokとしてソロでも活動。様々な楽器を演奏し歌ものもテクノも制作。ツチヤ二ボンドのサポートも)の手を借りて9曲入り弾き語りアルバムCD-R『From Now To When』を制作。一部では隠れ名盤とされる。それと同時に池ノ上のバーBobtail(その後Bar ruinaとして営業)を中心に活動を開始。その間、神谷洵平(現在自身のユニット、赤い靴 月球、大橋トリオのサポートなどで活躍中)と知り合う。2人でE.ギターとドラムの変則的デュオでライヴを重ねる。2006年頃からRyo Hamamoto名義での1stアルバム『Leave Some Space』をエンジニア浜野泰政と制作、2007年にToy’s Factory Musicのレーベル、おもちゃ工房からリリース。その後も相変わらずBobtailを中心に、トリオ編成やデュオ編成など不定形ながらもライブを続ける。浜本、神谷、渡部の3人に加え、何度かギタリスト、エンジニアの岩谷啓士郎(トクマルシューゴ&ザ・マジック・バンド、日暮愛葉 and LOVES!、LEO今井など)をギターに迎えてライヴを行う。2009年の8月にmooolsの『Weather Sketch Modified』の「影も形」のレコーディングにリードギターで参加。翌年2010年moools&Quasiのスプリット・ツアーにギタリストとして帯同。その後のツアーもライヴも継続して参加、WOLF PARADEとのアメリカ・ツアーにも一部帯同、その後正式にメンバーとなる。2011年11月、新代田FEVERにて2日間開催されたモールスまつりでは、2日間ともmooolsのギタリストとして演奏したのはもちろん、Ryo Hamamoto & The Wetlandとしても参加。bloodthirsty butchers、BEYONDS、佐々木健太郎(アナログフィッシュ)、toddle、GELLERS、nhhmbase、YOMOYA、SuiseiNoboAz、赤い疑惑、太平洋不知火楽団、快速東京らと共演。また、12月には、mooolsとして、JACCSカードの「あなたの夢に応援歌」キャンペーンに参加、曽我部恵一BAND、カジヒデキ、LOST IN TIME、THEラブ人間、住所不定無職、N’夙川BOYS、撃鉄、MOROHA、SEBASTIAN X、奇妙礼太郎らとともにTV CMに出演する。mooolsと平行して2010年前半、再び渡部、神谷そして岩谷啓士郎をエンジニアに迎えて、レコーディングを開始。1年近くかけてようやく完成された1stアルバム『Ryo Hamamoto & The Wetland』は、mooolsで存分に披露している卓越したギター・テクニックはもちろん、滋味あふれる唄声、芳醇なメロディー、豊かなグルーヴなど、すべてが日本人離れした彼の才能が爆発した極上の一枚となった。

    http://ryohamamotandthewetland.tumblr.com/