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映画『COMET/コメット』公開記念 サム・エスメイル(本作監督)インタビュー

ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国絶賛公開中!

ある恋人たちの6年間を描いた映画『COMET/コメット』が現在、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で絶賛公開中だ。本作は恋人たちの会話に焦点を当て「時間」と「空間」がパラレルに、そして叙事的に描かれる新感覚ラブストーリーとなっている。監督は今作で映画デビューとなる“新星”サム・エスメイル。今回LOADSHOWでは、本作の日本公開を記念して急遽エスメイル監督とメール取材が実現。映画と併せて、サム・エスメイル監督のロマン溢れる方法論をお楽しみください。

「“ものの見方”でその人の生きざまが決まる」(サム・エスメイル)

本作では主人公のデル(ジャスティン・ロング)とヒロインのキンバリー(エミー・ロッサム)の様々な恋のエピソードが「空間」「時間」を超えて交錯しますが、どのようにしてその着想を得たのでしょうか?
サム・エスメイル(以下、エスメイル):主に自分自身の過去の恋愛体験から着想を得ています。過去の体験を思い出しては、何度も何度も脚本を書き直しました。普通の物語ではなく、自分のリアルな感情を脚本に反映したかったんです。最終的に、ひとつの繋がった物語ではなく、断片的なシーンを紡いだ脚本が出来上がり、そのためちょっと幻想的な映画になりましたね。
それぞれのエピソードが移り変わる時のノイズ映像はどのようなコンセプトを持って作られたのでしょうか?
エスメイル: 80年代90年代に育った者として、VHSのようなイメージで作りました。奇妙な色合いのノイズ。冒頭では、時空間を行き来する感覚に観客が慣れるよう、サポートの意味で使用しました。しかし中盤以降は、デルが同じ記憶を頭の中で何度も何度も繰り返すときの描写として使用しています。
デルとキンバリーは相反するキャラクターであるため、ふたりの関係は不器用にもお互い離れられない関係でいるように見えました。ふたりの性格を表現するために工夫されたことはなんでしょうか?
エスメイル:基本的には二人の異なる“ものの見方”を対比させて表現しました。デルは典型的な悲観論者で、死や時間というものに恐怖を感じている。一方、キンバリーはまったく逆で、時間とは始まりや終わりがなく永遠に回り続けるものだと感じている。だから彼女は楽観的に考える。面白いのは、“ものの見方”でその人の生きざまが決まるということ。時間や人間関係をどうとらえるかで、世界の見方や生き方が大きく変わってくるんです。

審美的に積み上げられていく会話

デルとキンバリーは何かにつけて「愛と永遠」について話し合っていましたが、監督が考える「愛」と「時間」の関係を少し教えてください。
エスメイル:人と人との関係の中に「永遠」というものが存在しているのだろうか。おそらく皆、相手とのつながりはたとえ死後でも続いていくと信じているものです。そのつながりの一番深いところが「愛」がある。もしかしたら、私たちは、それぞれに大切な、愛する人の心の中にこそ輝きながら生きているのかも知れません。
「恋人の間には1つ嘘がなくてはならない」など、本作では美しくロマンチックな台詞が映画を引き立てているように感じました。
エスメイル:脚本を書くうえで私が一番好きなのがセリフを書く事なんです。話す内容や話し方で、各登場人物たちのキャラクターが立ちあがってくる。自然な会話なんか興味なくて、むしろ美術や撮影と同じように、審美的に積み上げられていく会話が好きなんです。

たいてい私が書く作品の世界は普通ではないので、会話も普通じゃなくていいかなと(笑)。
セリフはすべて、シーンや流れにもっとも適したものを細部まで練り込んで書いているので、アドリブはほとんどありません。ただ、撮影前には必ず俳優たちと繰り返し読みあわせをして、そのセリフがリアルであるかどうかを確認します。セリフがどんなに詩的で美しいものであろうと、そこにリアルな感情がなければ意味がない。それが一番大切なことだと思っています。
最後に日本公開を楽しみにしている観客の皆さんへ、メッセージを下さい。
エスメイル:日本のみなさん、遠くからあなたの国に憧れています。日本を一番身近に感じたのは『ロスト・イン・トランスレーション』(監督:ソフィア・コッポラ/04年)を観た時くらいかな。ぜひ日本に行ってみたいと思ってます。是非、呼んでください(笑)!

ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国絶賛ロードショー!

取材・構成:島村和秀
『COMET/コメット』

(2014/アメリカ/91分/英語/カラー/ドルビーデジタル/ビスタサイズDCP/日本語字幕/原題:Comet)

監督・脚本:サム・エスメイル

出演:ジャスティン・ロング、エミー・ロッサム

コピーライト:© 2014 COMET MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
ストーリー:彗星が振る夜に運命的に出逢ったデルとキンバリー。その日から、二人の六年間の恋がパラレルに交差し描写されていく。舞台は出逢いの公園、再開の列車、パリのホテルと目まぐるしく移り変わるが、キンバリーの告白にデルは衝撃を受けるー。
  • 『サム・エスメイル』
    1977年 アメリカ ニュージャージー州生まれ。 ニューヨークにあるティッシュ・スクール・オブ・ジ・アーツを卒業後、アメリカン・フィルム・インスティチュートの監督プログラムを受講し、美術学修士号を取得。2008年には、最初の脚本”SEQUELS, REMAKES&ADAPTATIONS”を執筆し、本作はハリウッドのスタジオ重役らの人気投票によってランキングする「ザ・ブラックリスト」に入った。 1年後に執筆した2作目“NORM THE MOVIE”も「ザ・ブラックリスト」入りを果たし、以降、脚本家として働く。『COMET/コメット』は、エスマイルの監督デビュー作であり、現在放送中のTVシリーズ「Mr.Robot(原題)」も手がけ話題になっている。