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『GET ACTION!!』近藤順也監督インタビュー

2012年12月に閉館した映画館、シアターN渋谷の支配人を務めた近藤順也氏の初監督作品『GET ACTION!!』が完成した。93年から95年の活動期間、欧米で精力的なライブやリリースを繰り返したにも関わらず、日本ではほぼ黙殺された唯一無二のバンドTEENGENERATEのドキュメンタリー映画だ。有名だからいいものなんじゃない。いいものは自分で探して自分で選ぶんだという姿勢は、シアターN渋谷で“知る人ぞ知る”映画を紹介し続けてきた姿勢となんら変わらない。近藤監督が『GET ACTION!!』に込めた思いとは?

1度全て疑ってかかって、自分なりの本物を探していくこと

LOAD SHOW(以下LS):近藤監督はシアターN渋谷の支配人をされていましたが、そこから『GET ACTION!!』を撮るに至った経緯を教えてください。
近藤:2005年から2012年の12月2日までの7年間、シアターN渋谷の支配人を務めていて、閉館後は制作という形で会社に残れました。僕はシアターN渋谷にいるとき、配給や製作もやっていて、音楽ドキュメンタリーの『アナーキー』(08/監督:太田達也、編集:川口潤)とか『kocorono』(11/監督:川口潤)のプロデュースをしていました。そのときに本作撮影・編集の川口潤とキングレコードの長谷川さんと知り合ったんです。長谷川さんは普通だったら日本で上映されないようなパンクのドキュメンタリー映画とかを海外から買いつけてるような人で、3人で意気投合したんです。それで実質3人でイチから作ったのが『kocorono』です。また何かやろうってなったときに、僕がTEENGENERATEの話をしました。2人とも知らなかったんですけど、僕は監督なんてやったことがなかったので、川口に監督を頼んだら、「おれは知らないから撮影と編集はやるよ」と言われ、「じゃあ撮影してて監督やりたくなったら監督にクレジットするよ」って言ってたんですけど、結局僕が最後までやることになっちゃったという感じです(笑)。
LS:最初にTEENGENERATEの杉山兄弟(Fifiさん、Finkさん)にこの企画を持っていったときはどんな反応だったんですか?
近藤:シアターN渋谷が閉館した2012年の年末、僕のお疲れ会プラス忘年会をTEENGENERATEのFifiさんが下北沢でやってる“ぷあかう”っていうバーでやったんですけど、そのとき酔っぱらった勢いもあってFifiさんにTEENGENERATEの映画を撮らせてくださいって言ってみたんです。そしたら案外いいよって感じだったので、年明けにちゃんとした企画書を持って、弟のFinkさんも交えて話をしました。ちょうど去年が結成20周年だったので、20周年再結成ライブをやってもらって、それを映画の核にする形で進めたいと話して、OKをもらいました。
LS:昔のバンドのドキュメントをやるという点で、ご本人たちからなかなかOKが出なかったのでは、と想像していました。
近藤:Finkさんは特に今やっているバンドの音に自信を持っていると思うので、昔の名前で引っ張り出されるというに対して若干の抵抗はあったみたいです。ただ、撮影前に何度も下打ち合わせをしていく中で、だんだん気持ちがほぐれていったのか、少なくとも自分のバンド人生の中でTEENGENERATEが1番評価されているのは間違いないし、青春でもあったから、そこを記録してくれるのは嬉しい事だと言っていました。彼らは一発屋みたいなバンドではなくて、今やっているバンドもかっこよくて、リリースもコンスタントにしているし、客もついています。今も現役であることに自信をもっているのでこの映画を撮らせてくれたんだと思います。
LS:近藤監督がTEENGENERATEを初めて知ったのはどういうきっかけだったんですか?
近藤:TEENGENERATEが結成した93年当時、僕はまだ学生でした。ちょうど日本はバンドブームの時代でそういうものも聴いていました。当時、DOLLっていうパンクの専門誌があってずっと購読していたんですけど、だんだんつまらなくなっていったんですね。本作のインタビューでもそういう話が出てきたんですけど、バブルが崩壊して、メジャーのレーベルからクビを切られたパンクバンドがいっぱいいたんです。それでパンクバンドが本当にアンダーグラウンドになってしまって、普通にしてたらあんまり聴けるチャンスがなくなった時期だったんですね。
そんなとき、映画にも出ているSUPERSNAZZという女性バンドがSUB POPっていう、当時NIRVANAが出していたレーベルと契約して、すごいかっこよかったんですよ。それで、こういう感じの男のバンドっていないの?と思っていたらTEENGENERATEを知って、聴いたらもうぶっ飛んじゃって。今まで聴いていたパンクと全然違って、あらためてロックンロールが速くなったものがパンクなんだなって思いましたね。あと、彼らはいろんなバンドをカバーしていて、それもTEENGENERATEの音みたいに聴こえてくるんですけど、よくよくクレジットを見るとカバーで、そうしたら元ネタも聴きたくなって、それでいろんな音楽に出会うきっかけにもなりました。そういうことでも今までのバンドと全然違いました。
LS:かなりいろいろな方にインタビューされていましたが、あの方たちはどんなふうに選んでいったんですか?
近藤:TEENGENERATEって多分いろんな思い入れのある人がいるので、別のサイドから見たらあの人にインタビューした方がよかったんじゃないかとか、それぞれあると思うんですけど、あくまでも自分の視点でピックアップさせてもらいました。それをメンバーに見せて、意見を聞いて、バンドの中でいうとこの人が重要だから加えてくれないかと提案してくれたりして決めていきました。
LS:過去のライブ映像がたくさんできてましたね。ビデオの粗さがちょうど音楽とマッチしていてかっこよかったです。あの映像はメンバーの方が所有されていたんですか?
近藤:基本的にはメンバーが持っていたものです。海外のライブ映像は、TEENGENERATEって同じところに海外ツアーに行っていたので、行くと去年の映像をくれたらしく、それをFinkさんに借りました。あとは、関係者に聞いて、当時あいつが撮ってたよっていうのを手がかりに日本中から集めました。
LS:途中で「TEENGENERATEの音楽のジャンルは何ですか?」という質問がありましたよね。あえてジャンルを聞いたのはなぜだったのでしょう?あの質問によって、伝説のようなTEENGENERATEというバンドがリアリティを持った存在に感じられました。
近藤:すごく狭い話なんですけど、当時、TEENGENERATEってガレージパンクと言われて出てきたんですね。TEENGENERATEやSUPERSNAZZなどによって日本にガレージパンクって言葉が広まったんだと思うんです。映画を観てもらうと、最後はもうパンクバンドになっていって、特にFifiさんがパンクに狂っていって解散の一つのきっかけにもなったんですけど、自分の中でみんなどう思ってたんだっていうのを聞いてみたかったんですよ。あの質問ていつも撮影の最後にしていて、「最後につまんないこと聞いていいですか?TEENGENERATEってガレージだと思いますか?パンクだと思いますか?」みたいに聞いていたんです。でも途中からどうでもよくなっちゃって。結局、TEENGENERATEがジャンルをボーダレスにするバンドだっていうことに気付いたんですよね。そうかと思えば、The PosiesのKen Stringfellowっていうアメリカ人が「間違いなくガレージだ」と言ったりして、アメリカ人はジャンル気にしてないだろうと思っていたら、実はすっごい気にしてたりして。どうやって使うか迷ったんですけど、蕨さんて映画に出てる方が逆に自分に同じ質問をしてきたところがあって、蕨さんの言葉を先に使うとうまくつながったんです。川口の編集の妙ですね。あのときTEENGENERATEがどういうふうに見られていたかってことが浮き彫りになったので残せてよかったなと思います。
LS:川口潤さんのすごさというのはどういうところなのでしょう?また、どんなふうに編集を進めていったんですか?
近藤:川口潤のすごさっていうのは最初に『アナーキー』とかで仕事したときからそうなんですけど、やっぱり編集ですよね。彼の編集は非常になめらかで、次の話題にスムーズにつながっているので、見てる人の興味がそのまま進行していくんですね。今回もここはどうしたらいいだろうと思うところで答えを出してくれました。最初、素材だけで60時間以上あったんで、まず自分が残したい部分を抜粋して川口に渡して、それが7時間あったんですよ。そこから川口の視点で思い切り切ったらめちゃめちゃ短くなって、それを骨にして今度は膨らませていくっていう作業でした。
LS:欧米であんなに知名度があるのに、日本でなぜここまで紹介されていなかったかが本当に不思議です。近藤監督はシアターN渋谷のときから知る人ぞ知るかっこいいもの、面白いものをすくいあげてきたと思います。本作も同じような心持ちで撮ったのだろうと思いました。そういうものが埋もれてしまわないようにするにはどうしていけばいいのでしょう?
近藤:あの時まったく音楽雑誌が取り上げていなかったのはおかしいぞと。それが本作を撮ったきっかけの1番大きなところでした。1度全て疑ってかかって、自分なりの本物を探していくことをTEENGENERATEに教えてもらいました。それをすくいとったり、発信し続けないとなかったことになっちゃうので、今回TEENGENERATEを記録できたことは本当に嬉しいことです。
シアターN渋谷も、ジャンルが限定されたところに対して、いまだにシアターN渋谷を好きでしたと言ってくれる方がけっこういるんです。同じ気持ちの人って実はたくさんいるんじゃないかなと思います。
杉山兄弟が言ってたんですけど、静岡時代に自分たちと同じ音楽の趣味のやつがまわりにいなくて、東京に行けばそういうやつだらけだろうと思って出てきたら全然いなくて愕然としたと。でもきっと東京中に点在してるだろうと考えて、雑誌DOLLのメンバー募集とかをするページに「ロックンロールハイスクール開校」ってのを載せて同士を集めて、ただ自宅に音楽好きがレコードを持ち寄って、お茶を飲みながら音楽を聴くっていうことをしてたらしいんですね(笑)。今Fifiさんがやってる“ぷあかう”はそういう店なんですよね。TEENGENERATEのFifiさんがやってる店だって世界中から人が来るんですよ。同じ気持ちでブレずにやってると人は集まるんだなと思いました。やっぱり発信し続けることじゃないですかね。
聞き手・構成・写真:石川ひろみ
近藤順也監督作品『GET ACTION!!』
2014年3月15日(土)~28日(金) 新宿シネマカリテにて連日21:00より2週間限定レイトショー!
■公式サイト
http://www.get-action.net/
■劇場情報
http://qualite.musashino-k.jp/
■映画『GET ACTION!!』公開記念イベントin新宿シネマカリテ
☆シネマカリテ3/15(土)公開初日来場者に先着でTEENGENERATE缶バッヂプレゼントを決定!
☆3/15(土) 初日舞台挨拶 ゲスト:Fink、Fifi、(以上TEENGENERATE)、近藤監督
☆3/18(火)「あの頃僕らは最前列にいた!」 ゲスト:TSUNEGLAM SAM(YOUNG PARISIAN)、近藤監督
☆3/21(金)「音楽ドキュメンタリーはどこへ行く!?」 ゲスト:樋口泰人(映画評論家、boid主宰)、川口潤(映像作家)、近藤監督
☆3/22(土)「90年代初めのUSツアーってこんな感じでした!」 ゲスト:TOMOKO(SUPERSNAZZ)、Fifi、近藤監督
☆3/27(木)「間もなく公開終了!ズバッと総括!」 ゲスト:Fifi、近藤監督
『GET ACTION!!』
©2014 NIPPAN、KING RECORDS. All Rights Reserved.
Photo by Masao Nakagami(TARGET EARTH)
監督:近藤順也/撮影・編集:川口潤/製作:日本出版販売+キングレコ ード/制作:アイランドフィルムズ/制作協力:TARGET EARTH、MANGROVE LABEL/2014年/99分/カラー/ビスタ
  • 『近藤順也(こんどう・じゅんや)』
    元シアターN渋谷支配人。2014年、日本の伝説的バンドTEENGENERATEのドキュメンタリー映画『GET ACTION!!』を監督。