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女優 尾崎愛さんインタビュー

一風変わった役も多く演じてきている尾崎愛さんに、役者の側から見た『サウダーヂ』(富田克也監督作品)などの出演作の映画の舞台裏や、演技への取組み方などについて聞いてみた。

「特攻服を着てリーゼントでっていう格好です」

現在テアトル新宿でレイトショーで公開中の映画『あの娘、早くババアになればいいのに』(頃安祐良監督作品)に出演されてますね?この作品ではどういった役柄を演じられていますか?
尾崎:はい、主役のアンナちゃんっていうのがアイドルを目指す女の子なんですけども、そのアンナちゃんの過去のシーンで、アンナちゃんが赤ちゃんの時のお母さん役っていう事で出演させてもらってます。なので、過去の回想シーンでの出演ですね。
リーゼントでバイクに乗られてますよね?
尾崎:そうですね。特攻服を着てリーゼントでっていう格好です。
かなり強烈な感じではあったんですよ。
尾崎:多分、私自身が頃安監督ともともと知り合いだったんですけど、私がバイクの免許持っているからっていう所によるのが大きいんじゃないかなって思います。
それがあって役が決まっていったっていう事なんですか?
尾崎:はい、そうですね。多分頃安さんも冒頭で特攻隊のお母さんっていう強烈な印象をつけたかったと思うんですけど、それで誰か周りにバイク乗れる女優いなかったっけっていう時に上がったのかなっていう感じですね。
大体撮影の日数はどの位だったんですか?
尾崎:私は回想のシーンで、ちょこっと友情出演みたいな形なので一日で。深谷の方で。
頃安監督とは以前も何か一緒に仕事された事はあったんですか?
尾崎:仕事というのは初めてかもしれないですね。自主映画同士のつながりで面識はあったんですけど。

「一回やったら終わりっていうのじゃないのが面白いかなって」

『アイネクライネ・ナハトムジーク』(平波亘監督作品)では主役で娼婦役として出られてますね。その時ももともと監督さんとは知り合いではあったんですか?
尾崎:そうですね。平波さんとは作品を撮られるちょっと前に忘年会か何かで知り合って、ひとしきり映画の話をしてました。韓国映画がお互い好きで、そういう話で盛り上がって、何かいつか一緒に作品を作りたいですねっていう話があって、その『アイネクライネ・ナハトムジーク』の作品につながりました。
なるほど。作品自体は三年前の作品ですか?最近になってまた劇場で上映されたりっていう機会がありますよね?
尾崎:そうですね。なかなか撮った時から公開に辿り着けるまでが結構長かったりとか、でもその後繰り返し何回か上映されていくっていうパターンが周りで多くて。一回やったら終わりっていうのじゃないのが面白いかなって。

「役者じゃない方がどうリアクションしてくるかっていうのが分からないから本当その場に任せてやるしかない」

『サウダーヂ』(富田克也監督作品)の中では、ラブ&ピースに傾倒するまひる役で出演されてますけども、この時は富田監督からどういった演技を要求されたんでしょうか?
尾崎:まひるちゃんに関しては凄く具体的なイメージっていうのが監督の方であったと思うので、撮影に入る前に会議みたいな時に雑誌をずらって並べて富田さんと相澤さんの方でこういう感じの女の子なんだよね。みたいな感じで雑誌で服装から入った所はあって。あ〜なるほどなるほどねっていう感じで段々組み立てられていって、実際にみんなで109に行ってまひるちゃんの衣装を選んだんです。

で、髪の毛も割と派手めな感じでっていう。そういう見た目の面でのアプローチを向こうからしてもらって、で、内面の方は後からこっちで考えて作っていくっていう流れになりました。

尾崎さんがまひるの台詞とかっていうのも肉付けされたりしたんですか?
尾崎:監督達からはこういう女の子なんですよっていう、言葉での説明を受けて、それで後は自分の解釈で、後はもう現場でやっていくっていう感じでした。結構撮影は自由度が高くて、そんなにこうしてくれみたいな指示はほとんど無くて、自由にやらせてもらいました。

『サウダーヂ』の特色の一つがやっぱり皆さん役者さんじゃないっていうのが凄く大きいので、多分皆さん撮り直しって言われても二回同じ事が出来るとかいう訳でも無いので、そんなに指示っていうのが無いんですよね。だから自由度は高いんですけど。

結構プレッシャーはありますよね?
尾崎:でも、しっかりとまひるちゃんはこうだなっていうのを掴めていればそんなに不安な事では無いかなっていう。やっぱり役者じゃない方がどうリアクションしてくるかっていうのが分からないから本当その場に任せてやるしかないんですね。

あまりこう演じなきゃって凝り固まっていると逆に自由が利かなくなっちゃうから、どっちかっていうと自然体でいないと対応出来なくなるかなっていうのはありました。

テイクを重ねる事も多かったんですか?
尾崎:なかなかリテイクは難しくって。俳優さんじゃない方に「こういう風にして下さいね」とか、やっぱりなかなか意図を掴めないじゃないですか。だったりとか、結構偶然の産物みたいな事とかも多いし、ゲリラ的なと言うか、そういう所もありましたから。
役者にとっては結構ハードル高いですよね?毎回違う芝居を返してくるっていうのは。
尾崎:でも、私は割とそんなに何回も同じ事をやるっていうよりかは、さっき何やったっけみたいな繋がりとか考えるよりも毎回違う方が面倒くさくないなっていうのは個人的にはあります(笑)。

「見慣れているはずの山梨だけど、ちょっと先に行ったらまた違う空間だっていう、そういう驚きはありました」

山梨県甲府の方で撮られた作品で、かなり監督自身リサーチした場所だったようですね。実際に現場に行かれた時は役者として作品の空気感みたいなものは感じられたんでしょうか?
尾崎:そうですね、もともと私は親戚の家が山梨の勝沼の方にあって、小さい時は毎年夏に行っていたという状況があったので、そんなに私にとって遠い場所ではなかったんですね。ぶどう畑があったり、桃畑だったりが広がっている感じっていう印象だったんですけど、『サウダーヂ』では移民のブラジル人たちが一つの団地に住んでいて、実際にそういった世界が広がっているっていうのは私の知っている山梨とは違うな〜っていう感じでした。

本読んだ時にもこれは山梨なのかっていう驚きもありましたし、実際に現地に行ってみて見慣れているはずの山梨だけど、ちょっと先に行ったらまた違う空間だっていう、そういう驚きはありました。

外国人の方達っていうのは実際にも結構いらしたんですか?
尾崎:はい、本当にびっくりしましたね。もともと監督がリサーチをしていた時に、夜中外国人ばかりたむろしていてなんとなく近寄り難い地域があるっていう事を言ってる監督の知り合いの女の人がいて、えーそれどんな所なの?っていう所からリサーチが始まったっていう風に聞いているので、地元の方の声をきっかけにっていう事みたいですね。

「最初の直感ていうのは大切かなと思いますね」

尾崎さんは個性的なキャラクターをやられる事が多い印象があるんですが、役作りっていうのは、作品によって大分変わってくるという事はあるんですが、脚本を渡された時点で事前に固めていくっていう事はしますか?
尾崎:やっぱり作品の意図として、こういう風にしたいキャラクターっていうのが凄く強い場合は事前に監督と話し合ったりとか自分である程度こうかなっていうのは固めていきますけど。

例えば『サウダーヂ』のまひるみたいな凄くイメージの強い役とか、『アイネクライネ・ナハトムジーク』の娼婦っていう特殊な職業だとかっていうのは、こういう特徴があるかなとか考えていきますけど。でも、まあそんなにガチガチに凝り固まっていくっていうのは無いですね。やっぱり他の方との関わりがあっての芝居なので、あまりガチガチにはし過ぎないでいきたい方ですね。

脚本を渡された時のイメージよりも具体的に衣装着たりとか相手の役者と接したりとか、そういう時の方がわくわくしますか?
尾崎:でもやっぱり一番最初に読むのは本なので、そこから立ち上がってくる人物のイメージっていうのが一番大切だなと思います。もちろん読んでイメージしたのが極端に違ったていう事になったら、それは良くないですけど。

でも大体最初に読んだイメージっていうのが正しい事の方が多いのかなっていう気がします。あんまり、あれこれあーだこーだって考えてると遠くなっちゃう気がするので。最初の直感ていうのは大切かなと思いますね。

「広い可能性を求めて外に出ようかなと」

芝居を始められたのはいつからなんでしょうか?
尾崎:高校の時からです。最初は演劇部に入ったりしてたんですけど、二年目くらいで養成所のような所に入って実際にちょっとした番組とか出させてもらったりはしてました。

ま、いわゆる芸能活動みたいな事は細々と高校の時からやってはいたんですけど。その後、文学座に入って、で、今映像の方にっていう流れですね。

文学座に入られたきっかけっていうのは舞台に興味を持たれたというのが大きかったんですか?
尾崎:そうですね、やっぱりしっかりと基礎を学びたいなって思ったのが18歳の時で。その時は大学と両立しながらやりたいなと最初は思ってたんで、夜間コースがあるっていう事で文学座の研究所に入ったんですよね。
映像の方に行かれるきっかけっていうのは何かあったんですか?
尾崎:やっぱり映像作品に出たいっていう気持ちがどんどん強くなってきて、広い可能性を求めて外に出ようかなと思いました。
最初に携わった映像作品っていうのはどういった作品でした?
尾崎:文学座から出た次に入った事務所が「Breath」だったんですけれども、そこで短編の映像作品とかをちょっとやらせてもらいました。ま、高校の時に映像はやってはいたんですけど。そういう短編の映画っていうので関して言えば、その時が初めてかなっていう感じです。
その時はどういった役だったんですか?
尾崎:その時は、何か凄く映像的な作品で、海辺で女の子二人付かず離れずの距離間を保ってみたいな、心象風景みたいな作品だったんですけど。ちょっと具体的には覚えてないですが。手元にも作品が無くて。

「リアリティとリアリティじゃない何かの狭間で太刀打ち出来ないものを感じまして、役者ってのは何なんだろうって」

今まで携わられた現場でもっとも印象に残っている事って何かありますか?
尾崎:『サウダージ』の撮影の時に大分高齢のおばあちゃんと二人で縁側に座っているっていうシーンがあったんですけど、そのおばあちゃんにも一応台詞はあったんですが、それとは関係なしに自分の言葉でどんどんおばあちゃんが鬼のアドリブを効かせてきて、ずっとずっと延々に喋り出してくれて、仕舞いには歌まで唄い出すっていう(笑)。

そのリアリティなのか、演技してるっていう訳じゃないですから、リアリティとリアリティじゃない何かの狭間で太刀打ち出来ないものを感じまして、役者ってのは何なんだろうっていう感じでちょっと打ちのめされてしまったんです。

「うん、そうだね」って聞いてる事しか出来なかったので特に何かしていく必要はなかったんですけど、そのパワーに圧倒されて。そういう事は多々ありましたけど、あのおばあちゃんは一番神がかっていましたね(笑)。
演技じゃなくってその人の強烈なキャラクターですよね。
尾崎:そうなんですよね。私の好きな『シティ・オブ・ゴッド』っていう映画でも、やっぱり現地の子供達じゃないですか。映っているのが。そのパワーが凄いので、それに別に勝てるとかっていう事ではないんですけど、役者がどこまで出来るのかっていうのを本当に考えさせられますよね。

「生活的にも波風が立つ様な生活をしてるって訳じゃない様な役柄で、細やかな演技っていうのは挑戦してみたい」

尾崎さんにとって自然体で演じれる役っていうのは、もしくはそういう女性っていうのはどういうタイプだと思いますか?
尾崎:今まで多かったっていうのは自分がやり易かったっていうのもあると思うんですけども、ちょっと変わった子とかいうのは結構意外とやりやすいっていうのも変ですけど、特徴がすごくあるから。そこの特徴をクローズアップしてっていうのは。

そうでない、すごく一般的な、生活的にも波風が立つ様な生活をしてるって訳じゃない様な役柄で、細やかな演技っていうのは挑戦してみたいですね。

今後映画で関わってみたい人や作品などがありましたら教えて下さい。
尾崎:まずはどんな作品でも色々経験してみたいので、出演してみたいっていうのは大きくあるんですけれども。最近は新進気鋭の監督さん達とか、海外に向けてっていうのを意識した作品も多く作られていると思うので、そういった作品で是非ご一緒出来ればいいなっていうのはあります。

あとは、韓国映画が好きなので、もし日韓との合作とか韓国映画に参加出来るような機会があったらそういった作品にも出てみたいですね。

「強いものへの憧れっていうのは大きいですよね(笑)」

今興味持たれてる事、趣味とか何かありますか?
尾崎:私はプロレスが好きなんですよ。月1か月2くらい観に行ってますね。生まれ変わったらプロレスラーになりたい位好きですね(笑)。
それは昔からの趣味ですか?
尾崎:ところが最近なんです。もともと格闘マンガとかすごい好きなので、格闘技に対するあこがれっていうのはあったんですけど、プロレス自体好きになったのは2、3年くらい前ですかね。
どういった所が面白いなって思われました?
尾崎:全てエンターテインメントっていうのは大きいですし、やっぱりかっこいいですよね。自分には完璧に無いものじゃないですか。男の人もそういう目線で見ると思うんですけど、やっぱりこう、強いものへの憧れっていうのは大きいですよね(笑)。
ちょっと意外でしたね(笑)。最後に今後の活動について教えて下さい。
尾崎:横浜のジャック&ベティでやる短編映画をたくさん上映する映画祭があるんですけど、それに新作っていう事で関わらせてもらってます。
まだ完成はされてないんですか?
尾崎:完成は6月末までに納品みたいな感じですね。YOUTUBEで予告編は出てるんですよ。『時空のおっさん』っていう映画です。時空の狭間に迷い込むとみんなこぞって変なおっさんに会ったっていう話をするらしいよっていう、そういうのがネットで結構前々から言われてる事らしくって、それを題材にした映画っていう事ですね。他はPVの撮影を春くらいにしてたので、それが夏くらいにリリースされるかと思います。
また新作の際には注目させて頂きたいと思います。本日はどうもありがとうございます。
尾崎愛出演作品『あの娘、早くババアになればいいのに』(頃安祐良監督作品)
テアトル新宿にてレイトショー公開中
■上映期間
6/7(土)〜6/20(金)
■上映時間
連日21:20〜
■公式サイト
http://www.anoko-bba.com/
聞き手:川邊崇広
写真・構成:川邊崇広
『あの娘、早くババアになればいいのに』
【Cast】中村朝佳、尾本貴史、結、切田亮介、尾崎愛、高橋卓郎、藤田健彦、信國輝彦、ジョージ・エスチャート

【Staff】監督・脚本・編集:頃安祐良|脚本:寺嶋夏生|撮影・照明:野口健司|録音:小牧将人|助監督:石井将|ヘアメイク:須見有樹子|制作:井野郁佳|制作応援:飯岡千恵子|音楽:原夕輝|振付:二階堂瞳子|協力:強瀬誠(深谷フィルムコミッション)|宣伝美術:佐藤雄介、前田彩|グラフィック撮影:内堀義之

2013 年/日本/70 分/カラー/1.85:1/ステレオ

©「あの娘、早くババアになればいいのに」製作委員会

  • 『尾崎愛(おざき・あい)』
    1985年生まれ、東京都出身。小・中学生時、イスラエル、アメリカ合衆国で生活していたため英会話は堪能。2003年に文学座附属演劇研究所に入所、2004年から文学座などに所属し、経験を積む。

    主な出演作は、『サウダーヂ』(富田克也監督作品)、『初夜』(甲斐博和監督作品)、『アイネクライネ・ナハトムジーク』(平波亘監督作品)『あの娘、早くババアになればいいのに』(頃安祐良監督作品)など。