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渡辺裕子監督作品『助平珈琲』レビュー

気まずさ、

下心、

無関心、

かけひき…。

 

そんな言葉が、この作品を観ている間に、浮かんでは消えていった。

 

2年前に別れた2人が、偶然出会って喫茶店で向き合うわずか数分。

この短い時間、ほぼ2人の表情の切り替えしが繰り返される。

 

軽く責めたり、試したり、探ったり、季節の話をしてみたり、この偶然にすがろうとしてみたり、期待させてみたり、かわしてみたり、はぐらかしてみたり…。

 

言葉で交わされる会話と、その裏で聞こえる「声にならない会話」が錯綜し、観客の盗み聞きに似た好奇心が刺激される。

生きていく欲と恥ずかしさに、情けなさと若干のいとおしさを感じながら…。

 

2人が飲んだ珈琲の味は、記憶に残るのだろうか。

そもそも、味を認識できたのだろうか。

 

人間って複雑なようで、案外、同じようにできているのかも…などと思う。

彼の立場、彼女の立場、どちらで観ているのか一瞬グラッとする瞬間があるのは、そのせい?

 

そして、彼女がピアスをはずす瞬間、観客は思う。

「助平はどっちだ!?」

 

気まずくも美味しい作品(一杯)。

『助平珈琲』
監督・脚本 : 渡辺裕子
出演 : 重盛次郎、高野みどり、宮地成子
ストーリー:駅前の雑踏。白シャツに黒いスラックスの少し冴えない男が証明写真機に並んでいる。その男の脇を器量の良い女が通りすぎ喫茶店に入った。男はその女を知っている。男は女を追いかけて店へと入って行った。喫茶店で繰り広げられる人生の10分間。
  • 『渡辺裕子』
    映画監督。1981年生まれ、愛媛県出身。武蔵野美術大学卒。05年に東京芸術大学大学院映像研究科(映画専攻、監督領域)に 入学。修了後、同大学院の後進の制作に関わりながら、自主映画を制作。2010年『愚か者は誰だ』が第五回札幌国際 短編映画祭で五周年記念特別賞を受賞し、経済産業省主催のコ・フェスタPAO短編映画部門参加作品『LIFELINE』 (2011)を監督する。同作は過去作品と共に渋谷UPLINKX、愛媛のルナティック湊町、アイシネマ今治で上映された。
  • 『茅野布美恵』
    地方紙編集者。幼少期、近所にあった映画館に父親とリバイバル作品を観に通っていたことから映画ファンに。ベストムービーは『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』『普通の人々』。好物は、情けない男が出てくる映画。