LOAD SHOW

A Rooted Soul. Vagabond Eyes.

映画の未来をいち早く
Be the first to witness the future of films

映画を巡るおんな旅

「映画を見て語らう」気の置けない仲間や、気になるあの人達と、美味しい食事やお酒を楽しみながら語り合う。そんなことがもっとあってもいいと思う。ひとりやデートも勿論良いけれど、時には皆で語らおう!そんな思いをテーマに、ここでのトークは女性限定。映画を巡る女子トーク、なんてものが存在するのか分かりませんが、時にはそんな過ごし方は如何でしょうか?第一回目の収録は、飯田橋ギンレイホールからほど近く、ビアバービターさんとのコラボ企画!お迎えしたゲストは渡辺裕子監督(※監督作品『助平珈琲』をLOAD SHOWにて配信中)に茅野布美恵(地方紙編集者)さん。話題の中心は渡辺監督の作品から、脚本も担当された濱口竜介監督作品に関するあれやこれや。さあ、楽しい夜のはじまりです!

一人でこういう素敵なお店にくることはあんまりないですね。映画周りの仲間でわいわいとやることが多いので、それでお酒は好きになりましたけど。(渡辺)
渥美:渡辺さんは撮影してるとき以外は、普段何されてるの?
渡辺:美術予備校だったり専門学校で講師やってるんです。映画以外はもっぱら映像教育について考えてます。
渥美:みんな十代?
渡辺:大体十代ですね、たまにちょっと年上もいますけど。25歳以上は審査を通過しないと入れないんです。
渥美:あら厳しい(笑)
茅野:本気度はかられるんですかね(笑)
渡辺:分からないです(笑)
渥美:学生と映画作ったりとかそういうことはない?
渡辺:映像制作の課題は出しますが、一緒に、っていうのはしません。見届け役です。
渥美:茅野さんは映画との関わりは?
茅野:地方誌で編集の仕事をしてまして、今は大人向け雑誌をやってるんですけど、その前にもう少し若い世代向けのタウン誌で映画の担当をしていたんです。そこでは結構やり過ぎることもありました(笑)プロレスのマスクを被ってインタビューしたり(笑)
渥美:映画雑誌ではないんですよね?
茅野:ではないんですよ。なのでもうちょっとやりたいなって気持ちは持ってましたね。映画はワンコーナーでしたから。
渥美:渡辺さんは普段飲みに行ったりはするの?
渡辺:一人でこういう素敵なお店にくることはあんまりないですね。映画周りの仲間でわいわいとやることが多いので、それでお酒は好きになりましたけど。
渡辺:渥美さんは?
渥美:飲みますね。でも最近あかん、弱くなってきて。すぐに記憶がなくなる。。
一同(笑)
渥美:でも周りから見たらめっちゃ普通に喋ってるらしく、次の日に話聞いてびっくりする。
渡辺:びっくりするようなことをやっている(笑)
渥美:そんなこと私言っててんやみたいな(笑)
渡辺:私、佐藤(央:映画監督)さんから渥美さんの話は良く聞いてたんです。
渥美:こないだ大阪帰ったときにチラっと会ったよ。
渡辺:元気にしてましたか?
渥美:相変わらずというか(笑)渡辺さんとはどういう繋がりなの?
渡辺:彼の『シャーリーの好色人生』という作品の制作でした。
渥美:そうなんや。
渡辺:ええ、元を辿れば藝大で『夕映え少女』という作品を製作したときに、私が制作で入っていて、佐藤さんが助監督で来ていたんです。そこで見初められたというかで(笑)その後呼んでいただいて。
渥美:『夕映え少女』って誰のやつ?
渡辺:藝大の二期生監督達のオムニバス映画ですね。瀬田(なつき)さんとか船曳(真珠)さんとか。私と佐藤さんは船曳さんに付いてました。
ヴェデット・エクストラ・ホワイト、ピクルスとブラックオリーブ、お肉屋さんのご馳走盛り合わせ二種、鴨のリエットと豚皮のコラーゲンテリーヌ。左上は店長の西條真弓さん。
渡辺さんとお話するってことで、昨日もらったDVDを見てたんだけど、渡辺さんの書く女性像が結構えげつないよね。好き放題やり散らかして(笑)(渥美)
茅野:濱口竜介監督も藝大の二期生ですよね。オーディトリウム渋谷で見たんですけど、濱口監督の『親密さ』良かったですね。渥美さんもblogで書かれてましたけど、オールナイト空けにふわふわっとした感じで帰っていくのがまた...
渥美:ねぇ、あれでホテル街を歩くのがね。でもやるたんび満席で凄いよねぇ。あんな長い映画。
茅野:お昼でも多かったですか?
渥美:ほぼ満席やった。
茅野:客層はどんな感じでした?
渥美:やっぱ若い人かな。
茅野:若い人たちの感想、もっと聞きたい。トークショーで主演の平野鈴さんが来られてたんですけど、舞台の演出も担当されたということですし、その辺りのお話ももっと聞いてみたかったです。渡辺さんは濱口監督の作品に脚本で参加されてますよね。
渥美:渡辺さんとお話するってことで、昨日もらったDVDを見てたんだけど(注:LOAD SHOWにて配信中の短編『助平珈琲』、脚本として参加した濱口竜介監督作品『永遠に君を愛す』のDVD)、渡辺さんの書く女性像が結構えげつないよね。好き放題やり散らかして(笑)
茅野:そう、私も思った(笑)女が好きになりにくい女を凄く魅力的に描いてるというか。特に脚本を担当された『永遠に君を愛す』はそっちだけの女性で勝負してる感じがして...
渥美:浮気とかやり散らかしてねぇ。
茅野:そうそう(笑)
渡辺:いや、有り難いです本当に。
渥美:それ有り難いか(笑)
渡辺:私は女性っていうものを映画というメディアで描きたいと思っていて、勿論そういったものを見るのも好きなんですけど、えげつない…ですかね(笑)
一同(笑)
渡辺:今日はお二人とほとんど初めてお話をする機会で、安請け合いしちゃったかなとも思ったんですけど、初対面の方でも、映画の話っていうのは出来ますね、映画ってそういうところがいいですよね。
茅野:うん。
渡辺:これは濱口さんに教えて貰った部分もあるんですけど、物事を捉えるために幾つか用意した選択肢の中から、どれかひとつを選ぶということではなく、新しい決断を引き出そうとするわけです。そうしたことを脚本上で考えていると、どんどんえげつない女性像が出来上がるんですかね...分かんないですが(笑)
茅野:『助平珈琲』の時はどうだったんですか?
渡辺:その時はあまり考えていなかったですね。
渥美:あのおんなも、でもずるいやんな、彼氏おらんとか言いながら。
渡辺:そうですね、あれは人生っていうお題があったんですが、人生をどう切り取るかってなった時に… 私、町で良く知り合いに会うんですよ。
渥美:おるね、そういう人。
渡辺:その時に立ち話じゃなくて、お茶するとか、しっかり話をせざるを得ない状況になった時の会話ってどんなだろうという思考実験としてやったんです。
渥美:なるほど。
渡辺:最終的にこうなったら面白いなとか、客観的というと違うかも知れませんが、そうした気持ちで考えていきました。演出という面ではまた違う話になりますけど。
茅野:全く脚本通りに撮られたんですか?
渡辺:そうですね、脚本通りでしたね。
茅野:渡辺監督の作品は純粋な女性だけの目線じゃない感じがするんですよ。性を超えたフィルターが入っている感じがして、自分が男性女性どちらの立場で見ているのか、ぐらっとくる瞬間があるんですよ。
渥美:ああ。
渡辺:視点に関しては、誰に見せたいかということで意識したりもしますけど、客観的であろうとしても、どうしても主観が入ってきたりはしますし、どちらも行き来しながらという感じでしょうか。
茅野:うん。
渡辺:演出の話になりますが、ひとつこうありたいと思っていることがあって、ある方に教わったことではあるんですが、撮りたい人たちの守護霊のような存在が、彼、彼女らを心配して見ている場所にカメラを置こうという。
渥美:はは(笑)なるほど。
渡辺:ただ、心配な人たちが沢山いて、カメラ位置も移り気になっているのかも(笑)だから仰っているような見え方をするのかも知れません。『助平珈琲』に関してもそうで、男と女にまつわる異性愛という題材を相手にしたときに、どちらのことも心配してしまうというか、気にしてしまうというか。一貫していないと言えばそうなんですが、どちらのことも突き放そうと思ってないんです。
茅野:私はそういう映画の方が好きですね。最近は見た人たちの感想が大体同じになってしまうような映画が多い気がして。
渥美:はあはあ、なるほど。
茅野:そうじゃなくて、渡辺監督の映画のように見た後で色々な意見が出るような映画がやっぱり好きです。
渡辺:ありがとうございます。
渡辺:『永遠に君を愛す』繋がりで言えば濱口さんの映画はその辺りどうなんですかね。
渥美:濱口くんの映画は初めて見たのが『PASSION』やって、あれは素晴らしいと思ったけれども、ラストがどうしてもバカバカしくて、この展開で最後おんなが戻ってくるっていうのがもうあほらしすぎて、やってらんねぇとかってぷりぷりはしたけども(笑)絶対戻ってこないからおんな、みたいなさ(笑)
茅野:一気にあそこだけ男の目線になりますよね(笑)
渥美:ちょっと夢見過ぎじゃない?って思った。
渡辺:茅野さんはどう思いました?
茅野:私だったら戻らないとは思いましたよ。ファンタジーだなと(笑)
渥美:ちょっとあれは男の夢が過ぎるんじゃないの?と思うよね。
渡辺:それまではどうでした?ラストにいたるまでは?
茅野:子供っぽいというか、かわいらしさが残ってる部分があるような気がするんですよ。部屋の中で本音ゲームをするシーンなんかは、あんなことしないと本音が言えない男なんだと気づいて、緊張感もありつつなんだけど可笑しさを感じたり。
渡辺:そしてラストに突っ込みを入れるにいたったと。
渥美:突っ込みというか...
茅野:純粋に “えっ!”って感じですかね。
渥美:そうそう。
渡辺:まあ、私もそう思ったんですけど。帰ってくるんだ!って(笑)しかもそれをワンカットで撮るという。
一同:(笑)
茅野:渡辺さんは『PASSION』の現場にも関わってたんですか?
渡辺:私はもう、、すごい頑張りましたよ。。
一同:(笑)
渥美:何を?(笑)
渡辺:制作なんですけど、まあプロデューサーが立てた大枠を実現していく役割と言いますか。
茅野:濱口監督の女優の選び方ってどんな感じなんでしょう?『PASSION』『永遠に君を愛す』と見ていて思うのは、河井青葉さんに出会えてラッキーだったんじゃないかなって。ああいうタイプの女優さんってあまり見ないなというか。
渡辺:そうですね。キャスティングに関しては、私が手伝った作品に関してなんですが、まずはじめに写真から選ぶんですが、それはネットだったり、タレント年鑑だったりするんですけど、宣材写真って笑顔がすごく多いんですよ!
渥美:まあね(笑)
渡辺:そんな中で、笑顔じゃない人が気になっているというか、選んでるような気がしましたね。
渥美:あんまりキラキラしてるよりかは、少し陰があるくらいの感じが好きそうやな。
茅野:うん。
渡辺:プラス直感なんでしょうけど、それで気になった方々に企画書を送るわけですが、とにかくいっぱい送るんですよ。そして実際に会わせて貰う。例えば脚本を読んで貰うにしても皆さんプロでやってらっしゃるわけで、当然しっかりとした演技をされるんですけど、上手く表現できないんですが、そこでの差というのが飛び抜けて存在する場合があるんです。あとは役者さんが監督を選ぶという側面が当然あるわけですから、やっぱりそこは人の縁なんですかね。
渥美:渡辺さん自身はどうなの?
渡辺:私も行程としては似たような感じではありますね。
渥美:『愚か者は誰だ』の野村宏伸は意外だったよね(笑)久しぶりに見たなと思って。
渡辺:あ、野村さんの場合はやり方が違いましたね。
渥美:その発想はどこから出てきたの?
渡辺:キャスティングできる40代男性のストックがあまりなくてですね、それで私の映画を面白いと言ってくれてるマネージャーさんに相談をさせていただいたんです。そうしたら当時野村さんが所属されていた事務所を紹介してくださって“この中だったら誰がいい?”って具合にリストを見せていただいて。あくまでイメージの説明のつもりで、野村さんですってお伝えしたら“野村さんはすごくいい方だし、出て貰えるかも知れないよ”と。
渥美:へぇ~ 今まで自主映画とか全然出てないでしょ?
渡辺:そうですね。
渥美:私も一応トレンディドラマで見てたけど。
茅野:びんびんね(笑)
渡辺:出ていただけてラッキーでした。ただ自主映画ですから、野村さんみたいな方に出ていただいて、現場が上手く回るかがとても心配で。
渥美:失礼なことがあってもねぇ。
渡辺:そうですね。それで濱口さんや制作を担当していただいてた杉原(永純:オーディトリウム渋谷プログラムディレクター)さんに相談しつつ、チャレンジしてみるかと。
渥美:実際現場ではどうだったの?
渡辺:本当いい方でしたね!キャスティングの話に戻ると、野村さんのような方でも、面白いと思っていただけるような企画であれば、例え自主映画であっても選択肢に入れていただけるというか。
渥美:最近そういうことってちょいちょいあるよね。
渡辺:そうですね、協力的にやっていただけるというか。有名な方ほどそうやって興味をもっていただける場合があるというか。
茅野:三宅唱監督の『Playback』にもムラジュンさんが主演していたり。役者さんもいい作品に出会いたいと模索されているんですかね。
渥美:そうね、濱口くんの作品なんて次出たいって人いっぱいいるんじゃない?
茅野:濱口さんの映画は『THE DEPTHS』でキム・ミンジュンさんまで出てますよね!
渡辺:お好きなんですか?
茅野:好き、、ですね!(笑)
渡辺:ミンジュンさん素敵でしたね。
茅野:濱口監督には運もあるというか、企画の実現に恵まれている感じがしますね。
渡辺:やっぱりやるべきことをやっているというか、そのエネルギーが人より強いんじゃないですかね。そうした中に幸運も生まれるというか。
渥美:ぼうっとしてたら企画が降ってくるわけじゃないもんね。
茅野:その上で人を巻き込んでいく魅力があるんですかね。
渡辺:そうだと思います。そしてやっぱり作品でしょうね。関わってみたいという気持ちにさせるんでしょうね。
渥美:それは立派やね。
渡辺:濱口さんのシナリオを書く能力ってやっぱりすごいなと思うんですが、まあ能力と言ったら努力してるだけだと怒られそうですけど(笑)
一同:(笑)
渡辺:シナリオって人に届けたいという気持ちの現れだと思うんですけど、やっぱり実際に届いていくものになっていると思うし。
渥美:『永遠に君を愛す』の脚本はどれくらい濱口君の手が入ってるの?
渡辺:私の名前をクレジットして貰ってるんですが、まあ一緒に書いていったようなものですかね。これはどういうことなのか、ここはこうやったほうがいいんじゃないかとか、そうしたやり取りをしながら書いていった感じですから。あと濱口さんがやりたかったのは音楽の部分。岡本(英之)さんが出てる部分なんですけど、その音楽パートを物語に挟んでいって欲しいと。
渥美:へぇ~
渡辺:あとは、ある価値観と価値観をぶつからせてみたいというか、それがあのトリッキーな女の子のキャラクターにも現れているし、家族内でわちゃわちゃやっているシーンに結実もされているような気がします。
茅野:濱口監督って作品ごとに新しい挑戦をされてると思うんですけど、一貫しているなと思うのは、時代性が独特というか、観客がいつその作品に出会ってもいいように作られていますよね。
渡辺:どう時代と関わるかみたいなことはやっぱり考えますよね。私の話なんですけど、以前に『LIFELINE』という映画を撮ったんですが、内容が天変地異的なことが起こって家にこもっているんだけど、そこから出て行く話なんです。311の前に経済産業省の支援で撮影された映画なんですけど、震災が起こって上映されることがなくなってしまいました。私自身311の前と後で作品についての捉え方が変わってしまった部分があって、違うんじゃないかとか色々考えたりしたんです。そうしたことを濱口さんに話したことがあったのかはっきりと覚えてないんですが、“違わないよ”と。あなたが今の感情に左右されているだけで、映画っていうのはもっと普遍的なものなんじゃないかというようなことを言われました。話を戻すと、濱口さんは今を扱ったり、ある事件を扱うことには慎重かもしれません。
渥美:けど震災のドキュメンタリーは撮ってるよね。
渡辺:そうですね、オファーを受けて色々と考えたんだろうと思いますね。ただ311の影響を受けた自分として出来る新しいチャレンジを決断したのではないでしょうか。そういった意味合いのことを発言していたような気もします。
茅野:直接関係ないんですけど、スティーブン・ソダーバーグの『コンテイジョン』って映画、あの映画は天変地異とはちょっと違うけど、そういう状態になったときの人間の動きを追ったというか、あまりメッセージのあるような映画じゃないですけど、ふと思い出しました。
渡辺:ありましたね。でもそれよりもっとシンプルなことを相手にしているような気がします。現代的なことに左右されないというか。
渥美:面白い映画は100年前の映画でも面白いもんね。
茅野:うん。
渡辺:アッバス・キアロスタミ監督が地震の後の映画(『そして人生はつづく』)を撮っているじゃないですか。あれって凄く普遍性が存在していると思うんですけど、濱口さんにしても震災を扱いながらもそうした普遍性について考えているのではないでしょうか。変化よりも普遍性に主軸をおいているというか。本当の映画っていうのはそういうものなんじゃないかって。
茅野:昨年、当時すごく面白いと思っていた作品を見直す機会があったんですけど、え、こんなに面白くなかったっけ?!って。
渥美:あるよね、そういうこと。けど濱口君、『PASSION』なんて十年後くらいに自分で見たら小っ恥ずかしくなりそうじゃない?(笑)
茅野:私は、懐かしい感じがして既に小っ恥ずかしかったですけど(笑)
渥美:まあまあ、それはね(笑)
渡辺:90年代ですからね、トレンディな感じの(笑)怒られるけど。
渥美:ああ、トレンディな感じするね、本人は関西の落語家みたいな感じやけどね、喋り方とか(笑)

濱口映画のヒロイン像

渥美:『永遠に君を愛す』は、なんやかんやで浮気したおんなが悪いけど、浮気したおんなの方が旦那を許してあげるみたいなさ。
茅野:パラドックスみたいになってる(笑)
渥美:うん、お前がもっと謝れよみたいな!(笑)
茅野:女からみると上手いことやったなって(笑)
渡辺:あの部分に関して言うと、私は女が悲劇的になる方が良かったんですよ(笑)良かったというか、私はそういうのが好きで。
渥美:もう結婚もしない!みたいな?
渡辺:そうですね、不貞な女は悪いことになればいい!って(笑)
茅野:女は大体そう思ってるんじゃないかな(笑)
渡辺:悪いことをした人間は罰を受けなきゃいけないっていう理があるよね、っていうのがまずあって、でもそういうこと続けてたら、男と女の断絶感っていつまでたっても埋まらなくない?っていうことを『永遠に君を愛す』で考えてみたというか… 断絶を埋めてみたい、こうなったら美しいなという終わりを迎えさせたかったというのはあります。
茅野:『永遠に君を愛す』ってこういう話をしたくなる映画ですよね、カップルで見たらどんな話になるんだろう(笑)
渥美:私はかなり似たシチュエーションがあったから(笑)まあ背筋が凍るよね!
一同:お~(笑)
-茅野さんには濱口監督作品『何食わぬ顔 short version』の映画紹介を執筆していただいたんですが、登場する二人のヒロインについて触れられていますね。
茅野:濱口監督は「女性が好きになりにくい女性を、魅力的に撮る」よね、って話ね。普通同じようなシチュエーションだと、超ステレオタイプな描かれ方になったりするんだけど、濱口監督の描く「女性が好きになりにくい女性」には全否定できない何かがあるんだよね。『何食わぬ顔』に限らずね。私はとにかく濱口映画における河井青葉さんが気になってます。思わず前のめりになって見ちゃう存在というか。気持ち的に高ぶっているようなシーンでも静かな抑えた演技をされますよね。
渡辺:小さくても通る声というか。
茅野:そうそう。『記憶の香り』なんかは役柄も全く違うんだけど。
渥美:『記憶の香り』かわいい映画だよね。
茅野:あと私は岡部(尚)さんも好き!
渡辺:私もです。
茅野:『PASSION』の埠頭のシーンなんて最高ですよね。そしてあの奇跡的なトラック!
渡辺:あれは私が車止めできなかったんです(笑)

『親密さ』

茅野:作品の作り方がトリッキーというか、今までにない手法というか。観客としてはどう見たらいいのか分からないまま作品に入っていく感じになりますよね。迷いながら見ているから、余裕があればもう一度見てみたいんですけど(笑)
渥美:まあね、DVD渡されたとしても家で4時間はなかなかきついかも!
茅野:体験する映画ですよね。フィクションとドキュメンタリーの境目の揺らぎが伝わってくる。
渥美:濱口君は『なみのおと』でも思ったけど、とにかく頭のいい、頭が切れるひとなんやろなと。けど、監督が頭で考えてる以上のものを映画にしてるなあという感じがあったよね。ガチガチにつくられたものじゃなくって。『なみのおと』も人の表情なんて計算出来ひんからそうっちゃそうやけど。
渡辺:舞台パートが本当に面白かったですね。見たことないというか。一番面白かったのは、照明が顔にしか落ちてないから、背景が暗く落ちてるんですよね。それで背景がないから切り返しが凄くスムースに決まるんですよ。あの抽象空間が映画に凄く合っていたというか。
渥美:完全版になっちゃうと?
渡辺:完全版になるとよく分からなかった(笑)
一同:(笑)
渡辺:いや、先にshort versionを見ちゃってたというのもあるし(笑)
渥美:まあまあ、なかなか冷静には見れないよね。
渡辺:暖かく見守る気持ちで見たというとあれだけど、何だか切実で純粋で、愛おしい気持ちを持って見られましたね。
渥美:ピュアな気持ちで見なきゃいけない(笑)
茅野:脚本は濱口監督なんでしょ?
濱口監督ですね。
茅野:純粋な部分っていうのは彼らのその...
渡辺:脚本の持っている力が純粋なんでしょうね。
渥美:けどおっさんとかが演じてたとしたらさ(笑)
一同:(笑)
渡辺:エリック・ロメールという監督がいますが、ロメール映画に出てくる若い子達って凄く純粋で...
渥美:あれはでもただのエロじじいやんか(笑)
一同:(笑)
渡辺:いやでも...あ~そうかも知れないですね(笑)濱口さんはただのエロじじいじゃないですよね...
渥美:けど、ピュアな人はピュアなもの撮れないよ多分。
茅野:色気がないとね。
渥美:そうそうそう。
茅野:『親密さ』はENBUゼミナールの卒業制作なんよね?やっぱりそういう場所にモノづくりを目指して集ってきた若者たちだから、ピュアさってものが余計に出ているんだろうとは思うけど。
濱口監督は『親密さ』においてはカメラマンである北川喜雄さんの存在が大きいと語っていました。北川さんは彼らの近くに入っていくことが出来たという趣旨だったと思いますが。
渡辺:彼は私と同期(東京藝術大学大学院映像研究科一期生)で、卒業してからは商業映画の現場で助手を続けていました。喜雄は本当に純粋なんです(笑)
一同:なるほど!そこか!
渡辺:喜雄は本当に...あの~、、純粋なんです(笑)
一同:(笑)
『親密さ』はピュアさがぶつかり合った映画なんですね(笑)
話は更に盛り上がり続け、楽しい夜は深まっていきました。次回をお楽しみに!
※写真左より、茅野布美恵さん、渡辺裕子監督、渥美喜子/gojoさん

BEER BAR Bitter

今回コラボレーションさせていただいた BEER BAR Bitter さんのエントランス。地下鉄飯田橋駅B4b出口より徒歩3分、神楽坂は本多横丁の奥、蕎麦や「まろうど」向かいのビル2階にあります。写真の小さな赤いランプが目印です。 ホントに小さいので、見落とさないようにご注意ください。

9月30日までの特別企画!“LOAD SHOW を見た!”で生ビールがパイントサイズに!

BEER BAR Bitter はベルギービールを中心に、日本・ドイツ・アイルランドなどのビールを楽しむことができます。週替わりの3種の生ビールや季節限定のスペシャルビールなどもお楽しみ。 また、シングルモルトレアボトルや本格焼酎(芋・麦・黒糖)なども厳選。 お料理は定番のラード100%で揚げたフリッツをはじめ、日替わりでおよそ20種。 ご覧の通りの素敵なお二人、店長の西條さん(写真右)と石井さん(写真左)は、なんとご姉妹!連日多くのお客さんで賑わうBEER BAR Bitterですが、今回9月30日までの特別企画として、“LOAD SHOW を見た!”で通常サイズのお値段で、生ビールをパイントサイズでご提供いただけます!ビールが美味しいこの季節、是非足を運んでみてください!
  • 『渥美喜子/gojo』
    1979年生まれ大阪出身、立教大学社会学部社会学科卒。2005年より自身のサイト「gojo」にて映画日記を執筆、2010年には蓮實重彦、黒沢清『東京から 現代アメリカ映画談議』(青土社)の出版記念トークイベントにてインタビュアーをつとめた。「森﨑東党宣言!」(インスクリプト)に寄稿。 gojogojo.comで映画日記を更新中。
  • 『渡辺裕子』
    映画監督。1981年生まれ、愛媛県出身。武蔵野美術大学卒。05年に東京芸術大学大学院映像研究科(映画専攻、監督領域)に 入学。修了後、同大学院の後進の制作に関わりながら、自主映画を制作。2010年『愚か者は誰だ』が第五回札幌国際 短編映画祭で五周年記念特別賞を受賞し、経済産業省主催のコ・フェスタPAO短編映画部門参加作品『LIFELINE』 (2011)を監督する。同作は過去作品と共に渋谷UPLINKX、愛媛のルナティック湊町、アイシネマ今治で上映された。
  • 『茅野布美恵』
    地方紙編集者。幼少期、近所にあった映画館に父親とリバイバル作品を観に通っていたことから映画ファンに。ベストムービーは『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』『普通の人々』。好物は、情けない男が出てくる映画。