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『濱口竜介レトロスペクティヴ』回顧録 vol.4

7/29(日)の模様を振り返ります。

上映作品は『何食わぬ顔(long version)

北仲スクール主催『未来の巨匠たち』をはじめ、各地の上映イベントで『short version』の上映がおこなわれたことはありましたが、『long version』は制作直後の上映以来、幻となっていました。

今回およそ10年振りの上映機会となったわけですが、スクリーンに映し出される映像は、まさに「何食わぬ顔」で私たち観客の瞳の上を通過していきました。

こんなにも長く上映機会を持たなかったのは、作品解説で木村建哉さんも触れておられるように、技術的な諸々の難点もあるのでしょうし、『short version』単体での鑑賞体験と比較したうえでの、濱口監督の判断があるのでしょう。

濱口監督は最新作『親密さ』においても『short version』と『完全版』を用意し、それらが全く鑑賞体験をもたらすことを語っておられますが、『何食わぬ顔』においても同様の事態が生じていると思います。

上映後のトークには、最新作『Playback』が公開待機中の三宅唱監督をお迎えしました。

『何食わぬ顔』を巡って三宅監督とのトークをおこなうことは、早くからの決定事項であり、それは三宅監督の『Playback』と『何食わぬ顔』が、注釈付きではあるにしろ、単純に3人の男が真っ黒なスーツに身を包んでいる【ハズバンズ!!】ことも含め、どこか似た雰囲気を持っていることに由来しています。

濱口:三宅監督をお呼びした理由としましては、村上淳さん、渋川清彦さん、三浦誠己さんがスーツ姿で並んでいる、三宅監督の最新作である『Playback』のスチールを見まして、失礼ながら「あれ、どこか似ているな」「似た雰囲気を持っているな」と思ったことがひとつ、もうひとつは単純に僕たちの世代(僕よりは少し下になるかもしれませんが)で最も才能ある監督の一人である三宅唱さんに演出の話、映画の話を聞きたかったということです。

濱口監督から三宅監督をお呼びした理由が語られたのち、『Playback』の特報が上映されました。

YouTubeにアップされているものからさらに場面が付け加えられた特別版の上映で、公開への期待が膨らむ貴重な機会となりました。お忙しい中準備をしてくださった三宅監督にこの場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。

三宅:いまご覧いただいたのが、ここオーディトリウム渋谷さんで今秋公開となる『Playback』という映画の予告編です。
濱口:僕は既に『Playback』本編を見せていただいたんですが、これはもう傑作だと思っています。正直ですね、画面の質として比べるべくもないところはあるんですが、それでもやはり、構造なんかも含めての話ではありますが、『何食わぬ顔』とどこか似ている部分があると思っています。三宅くんは『何食わぬ顔』どうだったでしょうか?なにかメモを取っていたようですが(笑)
三宅:久々に映画を見ながらメモでもとってみるかと思ったんですが、途中でやめました(笑)『long version』は今回初めて見たんですが、最初に『short version』を見たときと同様に、もの凄く感動する映画だなと、美しい映画だなと思いました。撮影されたのは大学生の頃、ちょうど10年くらい前でしょうか?23,4歳の頃ですよね。いまの僕はその年齢よりも少し年上になるのですが、仮にいまの僕が『何食わぬ顔』が撮影された当時に居合わせて、これから映画とどう向き合っていこうかと悩める濱口青年を前にしたならば、「お前の映画は面白い」「続けていくべきだ」と言ってあげたい、そんな気がします。

この後、三宅監督の口からは「見ている間は幸福な時間が流れる。そして見終わったあとはすぐにでも、周りの友達にキャメラを向けて映画を撮りたくなる、そんな映画だ」と言った趣旨のことが語られ、話題は濱口監督に対する質問へと移っていきました。

冒頭のひとつをご紹介しますが、三宅監督から問われたのは「この映画を撮らせた、ひとつ大きなモチベーションはなんであったのか」というもの。

濱口:映っている人たちのことが好きだったという、もの凄く単純な理由だった気がします。撮影をきっかけに出会った人もいたけれど、キャメラを回しているうちに好きになっていきました。そして、もしかしたらこのような「好きでいるようなやり方」で映画を撮ることは、大学を出てしまえば出来なくなるかも知れない、物事を好きでいられないかも知れないという不安がありました。

三宅監督からは「そうしたことは劇中でも語られていると思う」との返答があり、その後も様々な質問がぶつけられる中で、『何食わぬ顔』と『Playback』の親近性とでもいうべきものが「反復」といったキーワードのもと次第に浮き彫りとなっていきました。

濱口監督からの質問もご紹介しておきたいと思います。

濱口:『Playback』ではスーツ、学生服を着せていますし、前作の『やくたたず』でも学生服を着せています。僕も『何食わぬ顔』ではスーツを着せているわけですが、三宅くんはこうした普段着でないものを着せるということをどうしてやっているのでしょう?
三宅:やはり2本とも白黒映画ですから、画面の美的側面の充実度のために、学生服やスーツといった白黒画面に映える選択をしているということは正直あります。それと実は似たような質問を僕もしようと思っていたんですが、『何食わぬ顔』を見ていて、何気ない日常のショットであるのに、この日はちょっと特別な日なんだなと、つまりこの時だけ、「一回限り感」があるんだなと、自分でも撮っているわけですが、そう思いましたね。

学生服、スーツ、一回限りなもの、二度と還らないもの、それを捉えるということ、

トークは核心へと向かっていったわけですが、全文の掲載は今しばらくお待ちいただければと思います。

次回は7/30(月)『PASSION』上映後の質疑応答の模様をお伝えしたいと思います!

三宅唱監督の最新作、映画『Playback』は11月10日~オーディトリウム渋谷にてロードショー公開!

第七藝術劇場ほか全国順次公開予定!http://www.playback-movie.com/