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ロン・マン監督作品『ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』トークイベント レポート

YEBISU GARDEN CINEMAにて絶賛公開中!ほか全国順次公開

数々の名作を世に送り出してきたアメリカ・インディペンデント映画の父、ロバート・アルトマンに迫るドキュメンタリー映画『ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』。本作の公開を記念して「映画監督が語る!やっぱりすごいよアルトマン」と題したトークイベントが行われた。ゲストは『さよなら歌舞伎町』『娚の一生』など次々と精力的に作品を発表している廣木隆一監督と、『Playback』、新作の『THE COCKPIT』も話題の三宅唱監督。ロバート・アルトマンから大いに影響を受けていると語る両者が、映画監督ならではの切り口で語り合った。

◼︎開催日:10月9日(金)

◼︎会場:YEBISU GARDEN CINEMA

◼︎登壇者:廣木隆一(映画監督)、三宅唱(映画監督)

《まずは映画の感想》
廣木隆一(廣木):映画監督ってかっこいいなと思った。このドキュメンタリーを見ると、僕らの先輩、例えば相米慎二さんとか神代辰巳さんとか若松孝二さんとかのドキュメンタリーも撮ってみたいなと思いましたね。
三宅唱(以下、三宅):僕は84年の生まれなんで、ポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』とか、アルトマンの弟分的な監督の映画を見ることから、その師匠筋ということでアルトマンの映画を知ったんですよね。最初にみたのはそれこそ『M★A★S★Hマッシュ』とか。このドキュメンタリーをみて、こんないいおじいちゃんだったんだとか、家族の一員感を感じて、しんみりしちゃって、アカデミー賞受賞のシーンとか感動しちゃいましたね。
《アルトマンといえば<群像劇>》
廣木:「人間」を撮っていた。きっと、人間が好きだからいっぱい出演させちゃうっていうことなんじゃないかな。
三宅:人間が好きだと、いっぱい出しちゃうもんなんですかね?(笑)。「群像劇」って何だと思いますか?
廣木:人間が好きだと、めんどくさいけどいっぱい人を呼ぼうってなっちゃうんじゃないですか。アルトマンの現場はファミリーで、役者さんを大切にしていたとドキュメンタリーのなかでも言ってますよね。あと海外でもファミリー=◯◯組ってあるんだと思って、面白かったですね。
《アルトマンの異端さ》
廣木:リアルタイムで『ロング・グッドバイ』や『M★A★S★Hマッシュ』を見ていたけど、当時、「異端さ」が全面に出ていたわけではなくて、普通に見にいって、なんだこれっていう感じ。ただ、すごく印象に残っていた。生っぽいのかな。ハリウッドのほかの映画と全然違うものを食わされた感じ。こっちのほうがおいしかった。ハリウッドだけど、裸もあるし、血もあるじゃんってところもよかった。
三宅:アルトマンの映画って、出てくる人間が全員、馬鹿で下劣。それはつまり「普通」ってことで、俗っぽい人たちにカメラを向けている。格好つけないところがいい。
廣木:『ショート・カッツ』は警官が浮気してるだけの話だもんね。普通の人がこんなに面白いんだっていうことを見せてくれる。
《廣木監督の『さよなら歌舞伎町』について》
廣木:群像劇は、技術と人間の観察力がないと無理なことだと思って、これまで封印していたジャンル。『さよなら歌舞伎町』で、ほぼ初めて実現できて、やってみたらやっぱり楽しいなと思った。群像劇は自由。カップルごとに撮り方を変えて、この2人は手持ちで、こっちは長回しでとかできる。
三宅:群像劇は出演する俳優にとってはどうなんですかね?
廣木:俳優は、出演シーンの前後は関係ないですよねって感じだよね。その分、ワンシーンの瞬発力がすごい。出演シーン以外を見てないから、初めて初号とかで見たりすると「ああいうふうにやってたんですね」っていう言い方をみんなするよね。
三宅:群像劇は何回も見られますよね。立場を変えて。登場人物の数だけ物語がいっぱいあるから、おいしい映画で、欲張りな映画。
《映画製作の大変さ》
廣木:アルトマンもスポンサーあって、製作会社があって、自分のやりたいことをやるための闘いをしているんだなと思った。すごく厳しい。ある意味分かりやすいことだけど、やっぱりお客が入らない=仕事がなくなる、というのがアルトマンでもあったんだなと思った。勝てば官軍みたいなのが『M★A★S★Hマッシュ』。興行成績1位とって、手のひら返し。日本と似てるところがあるよね。
三宅:アルトマンの人生は、浮き沈みが激しくて、メンタルが弱いとだいぶしんどいと思うんですけど、不遇といわれた80年代もヨーロッパ行って、なんだかんだと映画を撮っていて、もちろんドキュメンタリーで使われている映像がいいだけかもしれないですけど、日によっては最悪な気分の日もあったとは思うんですけど、ものすごく背筋がしゃんとしている人だったんだなと思いました。
廣木:奥さんがしっかり家庭を守っていたから、っていうのはあるね。
三宅:支えられつつ、しゃんとしてた姿がまたカッコイイなと思いました。
《お気に入りのアルトマン作品》
廣木:僕は『M★A★S★Hマッシュ』。『ショート・カッツ』も好きです。
三宅:日によって変わるけど、『ギャンブラー』も好き。『今宵フィッツジェラルド劇場で』も好きで、この映画はうちのおかんでもいけるんじゃないかと思ってます。歌とかいいですよね。『今宵~』のあたりとか、病気で形相が変わってますよね。病気のせいもあるかもだけど、いい顔していて、見ていて飽きない。人間の業がでている。
廣木:凄みのある顔だよね。
《アルトマンからの影響》
三宅:監督ってみんな誰かしらの影響受けてると思うんですけど、人によってこそっとパクったり、スタッフとかキャストと共有してパクったり、いろいろだと思うんですけど、廣木さんの場合はどうやってるんですか?
廣木:今回こういう感じで、このシーンはこういう感じでやるよって、言っちゃう。その映画を事前に観てきてもらえると現場が早い(笑)。それをアレンジしていくとかね。『さよなら歌舞伎町』のオープニングの長回しは『ザ・プレイヤー』から、とかね。
三宅:アルトマンの映画をみると、「若干ちょっと撮れそう」みたいに思うんですよね。絶対撮れなそうな映画はあると思うんですよ。例えば『ミッション・インポッシブル』。大好きですよ、もちろん。僕にはワンカットも撮れないと思うんです。撮れるかなー、トム・クルーズが座ってるくらいなら…(笑)。アルトマンだと生活と地続きというか、僕らの時間の流れ方と似ているというか、見ていると撮りたくなっちゃう。そういう感じがあるから、真似できるかもとか、もっとうまくやれるんじゃないかとかそう思わせてくれる。映画を撮りたくさせる監督なんですよね。
ロン・マン監督作品『ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』
YEBISU GARDEN CINEMAにて絶賛公開中!ほか全国順次公開
◼公開記念トークイベント
□「アルトマンと文学の魅惑の関係」
10月14日(水)巽孝之(慶応義塾大学教授・アメリカ文学専攻)×青山南(翻訳家・エッセイスト)
□「アルトマン初のドキュメントを語る」
10月21日(水)菊地成孔さん(音楽家・文筆家)
□「アルトマン初のドキュメントを語る」
10月28日(水)樋口泰人さん(映画評論家・boid主宰)×中原昌也さん(ミュージシャン・作家)
※トークイベント詳細は公式サイトにて
◼︎公式サイト
http://bitters.co.jp/altman
◼︎公式Facebook
https://www.facebook.com/pages/ロバートアルトマンハリウッドに最も嫌われそして愛された男/847027992036695?sk=timeline
◼︎公式Twitter
https://twitter.com/Altman_movie
『ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』
第71回ヴェネチア国際映画祭 クラシック部門出品

監督:ロン・マン

証言者:ジュリアン・ムーア、ブルース・ウィリス、ポール・トーマス・アンダーソン、エリオット・グールド、サリー・ケラーマン、ライル・ラヴェット、リリー・トムリンほか

原題:Altman/カナダ/2014年/95分 配給:ビターズ・エンド