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漫画原作者が語る、ホドロフスキーの魅力について!

『蒼きウル』は、日本版『ホドロフスキーのDUNE』?

6月14日(土)より『ホドロフスキーのDUNE』、7月12日(土)よりホドロフスキー監督23年ぶりの新作『リアリティのダンス』が全国公開される。 2作品の公開を記念して、下北沢ブックストアB&Bにて先行トークイベントが行われました。ゲストには漫画家として活躍する他、音楽活動など多岐に渡り活躍している西島大介さん、フランス語圏の漫画バンド・デシネの翻訳家で数々のホドロフスキー作品を手掛けている原正人さん。両氏による漫画原作者から視たホドロフスキーの魅力について、そのトーク内容を少し掲載致します。

【イベント概要】

■日時:2014年6月10日(火)

■場所:下北沢B&B

■ゲスト:西島大介(漫画家)・原正人(翻訳家)
<ホドロフスキーの出会いについて>
原:学生の頃フランス文学を勉強していて、シュルレアリスムが好きで自然の成り行きでホドロフスキーを知った。当時はホドロフスキーの翻訳をするなんて夢にも思っていなかったけどね。
西島:原さんがシュルレアリスムからと言うなら、僕はSFの方からたどり着いた方が大きいですね。原作の『DUNE』も好きで読んでいたし。僕の絵は一見可愛い絵なんですが、ただ腕が吹っ飛んだりします(笑)、それってホドロフスキーの影響だったりします。『ディエンビエンフー』でも、片目つぶされて左手失った少年が、機械によって復活して、大暴れします。これも、『メタ・バロンの一族』から着想を得ました。
未完の大作といえば、ガイナックスの『蒼きウル』。山賀博之さんや、キャラクターデザインで貞本義行さんという豪華キャストが参加する予定でしたが、いまだ完成しないままでいる。『ホドロフスキーのDUNE』と似ているよね。それに、『サンタ・サングレ』に出てくる、血が大量に流れるシーンは、『エヴァンゲリオン』にも通じているし、庵野秀明とホドロフスキーは同じタイプの表現者だと感じました。
<『ホドロフスキーのDUNE』について>
西島:『DUNE』は結果、形にならなく、その後我々が知るのはデヴィッド・リンチ版の『DUNE』だけど、そこにスライドしたわけではなく、例えば『スターウォーズ』や『エイリアン』など、いくつもの名作作品に拡散しているんだよね。それはホドロフスキーが理念を伝え分散させ、種を播いているのと同じこと。
それは一種の洗脳に近いというか、その一連の行動は宗教がかっていると思う。結果『DUNE』は完成しなかったけど、『DUNE』がやろうとした目的は果たせているし、その理念は作品を突き抜け、いろんな所へ届いている。
原:まさにその通りだよね。『ブレードランナー』だってそうだしね。
西島:『ホドロフスキーのDUNE』はクリエイターだけに限った話ではなく、シンプルな人生、生きる哲学が詰まっていて、愛情に満ち溢れているし。作品が頓挫しても、くじけない心だったり、物事をいろんな風に解釈する事で先に進めるとか、すごくシンプルなメッセージがたくさん詰まっているので必見です!
<ホドロフスキー作品にこれから挑戦する人にむけて>
原:シュルレアリスムから強く影響を受けているホドロフスキーの初期の作品を観るなら、僕みたいにシュルレアリスムからホドロフスキーの作品に入るのも一つですし、ただ逆にあんまり考えなくてもホドロフスキーを楽しんでしまえばそれが一番いいのかもしれません。
西島:ホドロフスキーは映画監督でもあるけど、漫画原作者でもあるし、タロット占い師でもある。だからタロットカードからも入れるし、入り口はいくらでもあるよ。今はちょうど映画を公開するタイミングで、一番ベストだと思うんですよ!こんなにいろんな玉が出揃って「さぁ、勉強してくれ!!」なんてことは中々ないし、初めてだと思うんですよ。
原:ほんとにそうだよね。映画も公開して展覧会もあって、こんなに間口が広がっていることなんて初めてだよね。だから、どっからでも入っちゃって平気ですよ。
西島:そもそも、ホドロフスキーには初心者も熟年者もないし、我々だって知ったような口でトークしているけど、実は何も知らないのかもしれない。だから自由にホドロフスキーの海で泳いでいただければと思います!

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ホドロフスキーの『DUNE』は完成しなかったけど、ホドロフスキーが蒔いた種は確実に後世に引き継がれており、ホドロフスキーが愛を持って伝えているメッセージ、与えた影響について改めて気づかされ、深く考えさせられた本イベント。会場のお客様からも多くの質問が飛び交うなど、終始熱い雰囲気で包まれイベントは幕を閉じた。
【ゲストプロフィール】

西島大介(にしじまだいすけ)・漫画家

1974年10月5日生まれ。1990年代より音楽や映画評のライター、映像作家として活躍したのち、2004年に描き下ろし「凹村戦争」(早川書房)でマンガ家デビュー。受賞、連載経験のない新人としては異例の刊行で話題になった。翌年「世界の終わりの魔法使い」(河出書房新社)が描き下ろされ、シリーズ化。同作は星雲賞アート部門を受賞、第8回文化庁メディア芸術際審査員推薦作品に選ばれた。シンプルで記号的なデザインのキャラクター、批評性の高いシュールな物語が特徴。複数の雑誌で“マンガっち”として連載中のエッセイマンガや、DJまほうつかい名義での音楽活動など多岐に渡り活躍している。

原正人(はらまさと)・翻訳家

1974 年生まれ。学習院大学人文科学研究科フランス文学専攻博士前期課程修了。フランスのマンガ“バンド・デシネ”の翻訳家。翻訳にホドロフスキー&メ ビウス著『アンカル』、『猫の目』、『天使の爪』、ホドロフスキー&ヒメネス『メタ・バロンの一族』、ニコラ・ド・クレシー著『天空のビバンドム』、ヴィ ンシュルス著『ピノキオ』、『デス・クラブへようこそ』、ブノワ・ペータース&フランソワ・スクイテン著『闇の国々』(共訳)など。監修に『はじめての人 のためのバンド・デシネ徹底ガイド』がある。
『ホドロフスキーのDUNE』
【Story】メビウス、ギーガー、ダン・オバノン、サルバドール・ダリ、ミック・ジャガー、ピンク・フロイドら、驚異的な豪華メンバーを配するも、撮影を前にして頓挫した幻のSF大作『DUNE』。その製作過程を、ホドロフスキー、プロデューサーのミシェル・セドゥー、ギーガー、ニコラス・ウィンディング・レフン監督らのインタビューと、膨大なデザイン画や絵コンテなどの資料で綴る、映画史上最も有名な“実現しなかった映画"ホドロフスキー版『DUNE』についての、驚愕、爆笑、感涙のドキュメンタリー!
監督:フランク・パヴィッチ/出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セイドゥ、H.R.ギーガー、クリス・フォス、ニコラス・ウィンディング・レフン/配給:アップリンク/パルコ
(2013年/アメリカ/90分/英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語/カラー/16:9)
■ 公式サイト → http://www.uplink.co.jp/dune/
『リアリティーのダンス』
【Story】1990年の『TheRainbowThief』(日本未公開)以来23年ぶりとなる新作は、生まれ故郷チリの田舎町で撮影された自伝的作品。権威的な父親との軋轢と和解、ホドロフスキーを自身の父親の生まれ変わりだと信じる、元オペラ歌手の母親との関係、そしてホドロフスキー少年が見た“世界"とは…映画の中で家族を再生させ、自身の少年時代と家族への思いを、現実と空想を瑞々しく交差させファンタスティックに描く。
監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー/出演:ブロンティス・ホドロフスキー/パメラ・フローレス/クリストバル・ホドロフスキー/アダン・ホドロフスキー/配給:アップリンク/パルコ
(2013 年/チリ・フランス/130 分/スペイン語/カラー/1:1.85/DCP)
■ 公式サイト →http://www.uplink.co.jp/dance/