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ジャック・ドワイヨン監督作品『ラブバトル』

泥の中で、激しくぶつかる男と女

『ラ・ピラート』(84)、『ポネット』(96)など名立たる作品を残しているジャック・ドワイヨン監督。 主演は弱冠23歳にして『戦争より愛のカンケイ』(09)で第36回セザール賞主演女優賞を受賞したサラ・フォレスティエ。 共演はチャールズ・チャップリンの孫であり、サーカスやマイム、ダンスなど多彩な才能で世界を魅了する、ジェームス・ティエレ『宮廷料理人ヴァテール』(99)。以下ストーリーを抜粋する。
彼女は父親の葬儀と、彼が残した財産整理のために田舎町へと戻ってきた。その土地でかつて想いを寄せていた男と再会する。いっぽう財産分与に向けての兄妹での議論では、過去の確執や古い心の傷が疼き始め、次第に彼女を苦しめてゆく。
自分を愛さなかった父の死に加えて、少女時代のトラウマが蘇る。彼女は現実から目を背け、男に身を寄せ、変わった“セラピー”にのめり込み始める。回を重ねるごとに単なる口ゲンカから掴みあい、殴り合いへとエスカレートしてゆく。反発し、嫌悪し、淫らにぶつかり合い、怒りを解放し、エスカレートしていく関係の先に彼女は何を求めるのか。
熊のように大きな男に到底勝ち目のない華奢な女がかかんに飛びかかっていく。女の動物的な瞬発力に驚かされ、ゲームから始まったこのバトルは決して冗談ではないことがわかる。2人のバトルは次第に言葉すらなくなり、黙々と肌をぶつけ合うのだ。肉体を打ちつける音、浮き出る痣、激しい肺の運動。エロスとも違う、ダンスともレスリングとも違う、危険をともなった複雑な肉体の絡みは愛なのだろうか。会話劇に終わらず肉体をとことん突き合わせる男女の姿を描いた本作は、正しくドワイヨン映画の延長にある作品だ。
text by  hiromi_ishikawa
『ラブバトル』
監督・脚本:ジャック・ドワイヨン/出演:サラ・フォレスティエ、ジェームズ・ティエレほか/プロデューサー:ダニエル・マルケ/制作:Doillon & Cie, Groupe2
ストーリー:彼女は父親の葬儀と、彼が残した財産整理のために田舎町へと戻ってきた。その土地でかつて想いを寄せていた男と再会する。いっぽう財産分与に向けての兄妹での議論では、過去の確執や古い心の傷が疼き始め、次第に彼女を苦しめてゆく。 自分を愛さなかった父の死に加えて、少女時代のトラウマが蘇る。彼女は現実から目を背け、男に身を寄せ、変わった“セラピー”にのめり込み始める。回を重ねるごとに単なる口ゲンカから掴みあい、殴り合いへとエスカレートしてゆく。反発し、嫌悪し、淫らにぶつかり合い、怒りを解放し、エスカレートしていく関係の先に彼女は何を求めるのか。
  • 『ジャック・ドワイヨン』
    1944年、パリ生まれ。74年に初めての長編『頭の中に指』を監督し、フランソワ・トリュフォーから賛辞を受ける。その後、自身の製作会社を設立し『あばずれ女』(79)でカンヌ映画祭ヤング・シネマ賞を受賞。『放蕩娘』(81)で主演に起用したジェーン・バーキンと結婚し、現在女優として活躍するルー・ドワイヨンをもうけた。『ラ・ピラート』(84)はカンヌ映画祭コンペティション部門に出品され、そのインモラルな内容が物議を醸すが、その後フランス一般公開で好評を博した。15歳の少年の無垢な心を描いた傑作『ピストルと少年』(90)はルイ・デリュック賞、フランス映画大賞、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞など様々な賞を受賞した。日本でも記録的ヒット作となった『ポネット』(96)では4歳の女の子が母の死を乗り越えていくさまを描き、史上最年少のヴェネチア国際映画祭主演女優賞をもたらした。