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ジム・ジャームッシュ監督作品『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』

世紀を超えるアダムとイヴ

鬼才ジム・ジャームッシュが7年間温めていたという吸血鬼のラヴ・ストーリー『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』。『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『コーヒー&シガレッツ』『ブロークン・フラワーズ』ほかで貫き続けた、インディーズ映画ならではの味わい深い作風は本作でも健在。主演は、『マイティ・ソー』で一躍注目を浴びた英国人俳優の新鋭トム・ヒドルストンと、『ムーライズ・キングダム』、ポン・ジュノ監督『スノーピアサー』に出演と大活躍が続くティルダ・スウィントン。本年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、絶賛を博した。

“吸血鬼のアダムとイヴは何世紀も愛し続ける夫婦。21世紀を生きる彼らは、見知らぬ人の首筋を噛むのは無謀な行為と考え、病気や汚染がない安全な血液を自ら調達し、影のようにひっそり生きている。夫アダムはアンダーグラウンドシーンで活躍するミュージシャン。妻イヴは、友人マーロウと愛すべき文学書に囲まれ、モロッコに住んでいた。近年の自己破壊的な人間の振る舞いにうんざりしていたアダムを心配し、イヴは夜な夜な飛行機を乗り継ぎ夫の住むデトロイトへ。久々に再会し熱く抱擁する。そこに突然、イヴの自由奔放な妹エヴァがやってくると、3人の吸血鬼の運命はゆっくりと変わりはじめる…。”

何世紀も愛し合うアダムとイヴはデトロイトとモロッコ、タンジールで別々に暮らしている。友人の老吸血鬼マーロウ(ジョン・ハート)は、16世紀に謎の死を遂げたとされるイギリスの劇作家クリストファー・マーロウのことだ。そういったシニカルなユーモアが随所にちりばめられる。ヴィンテージと化した服、恐ろしく高そうなギター、たくさんの音楽、あらゆる国の文学、死んでいった仲間との秘密とともにひっそりと生きてきたが、それももう長くは続けられないだろう。デトロイトの退廃的な夜をドライブする風景がもう終わっていくしかない未来を示しているように見える。汚れた血、ゾンビと呼ばれる人間たち。ワイングラスで血をいただくような高貴な吸血鬼たちが静かに生きていく場所はこの現代にはもうないのだろうか。

文: 石川ひろみ
『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』
©2013 Wrongway Inc., Recorded Picture Company Ltd., Pandora Film, Le Pacte &Faliro House Productions Ltd. All Rights Reserved.
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ/出演: トム・ヒドルストン、ティルダ・スウィントン、ミア・ワシコウスカ、ジョン・ハート/原題: ONLY LOVERS LEFT ALIVE/2013 年/米・英・独/123分/配給:ロングライド 提供: 東宝、ロングライド
公式サイト:http://onlylovers.jp/